あなたに向くのは築何年？⑥買い方

中古マンションは個人が売り主となり、購入時に持っていたパンフレット類を既に処分していることもあり、情報不足は否めません。私が運営している「マンション評価ナビ」では、主に中古マンションを独自の項目で調査し評価していますが、いつも調べるのに苦労するのが以下の項目です。 いずれも、できるだけ長持ちするマンションとして、とても重要な項目です。残念ながら、現地見学に行った際に仲介会社の営業マンから渡される資料や説明では分らない項目ばかりです。資産としての基盤となる項目が分らないということは、リスクが大きいことと同義ですから、高額の投資判断は危険を伴います。 次に、中古マンションの弱点をみていきましょう。 情報量不足、そこが中古マンションの弱点 特に、築30年超になると、老朽化への不安が高いうえに、設計図書などの物件資料が乏しいこともあり、よく分らないので怖くて買えない、という声も耳にします。築年数が古ければ古いほど、納得いくまで調べる、調べて分らなければ、場合によっては購入を見送ることもいたしかたないかと、思います。 それでは、このシリーズの最終結論です。あなたに合ったマンションは築何年でしょう。 ・築30年超に向いている方 何がなんでも安さ追求。ということであれば、築31年超の築古マンションでしょう。耐用年数50年に対する残存期間からみて、返済期間は短くなります。銀行ローンの融資額はさほど多くはないことが想定されますので、自己資金に余裕がないと、返済のめどがたたず、契約までに至らない可能性があります。また、大がかりなリフォームが必要ですから、その分の費用も別途５００万円程度は準備しておきましょう。 ・築16年～25年に向いている方 住宅のつくりに基本的安心感があれば良し。価格も安く、住宅ローンもある程度借りやすい物件ということでしたら、築16年～25年の物件を中心に探しましょう。こちらもある程度のリフォーム資金が必要になることをお忘れなく。ただし、この築年数の物件の品ぞろえは、他にくらべても多いほうではありません、なかなか自分が求める物件に巡り合えない場合は、築30年まで範囲を広げることが必要でしょう。 ・築0～10年に向いている方 なるだけ早く新居を確保したい、都心立地、先進的な設備、構造、タワーマンションも視野にいれて探したい方は、築０（新築含む）～10年の豊富な物件の中から優先的に探すのが、合理的でしょう。なお、なかなか希望条件に合ったマンションに巡り合わない場合は、築15年まで、選択肢を広げてもいいでしょう。価格、住宅ローン、住宅のつくり、品揃え、維持・管理すべてに、バランスがとれている無難な物件が築６年～15年の中に含まれています。 日本のマンションの歴史は、はや50年が過ぎました。この間三大都市圏では約１３０万戸のマンションストックができました。そしてその中から、首都圏では年間３万戸の中古マンションが売買されています。中古マンションを検討しているあなたは、この膨大なマンションストックの中から、自分に合った中古マンションを見つけ出さなければなりません。 そのためには、場当たり的に色々な中古マンションを検討するのは、効率的とは思えません。今回のテーマは最終結論にいたるまで、長い道のりでしたが、中古マンションを選ぶうえで重要なポイントごとに、築年数による違いを明らかにすることを試みました。そうすることで、自分に合ったマンションに巡り合う確率が高い築年数を絞り込んで、優先的に探すことができると考えたからです。 あなたに合う中古マンションは築何年のものか、ご理解いただけたでしょうか。