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 不動産会社の儲けの仕組み2 原価削減の秘密

削減するなら販売経費、その内訳は?
総売り上げから原価を差し引くと、残りが粗利ということになります。粗利は一般的には20パーセントがひとつの目安とされています。そして、粗利の中でも、相当なウエイトを占めるのが販売経費です。その内訳を見てみましょう。
販売経費は総売り上げを100とした場合10程度の比率になります。こちらの経費には、販売手数料やチラシ・パンフレット・DM通信費などの販促ツール費用、新聞・雑誌・インターネットなどへの広告宣伝費用、モデルルーム・販売センターの建築費などが含まれます。 一部の大手不動産会社を除けば、多くの不動産会社は、販売部隊を社内におかずに、専門の会社へ委託していますので、この経費は削減の対象にはなりにくいものだと考えられます。
販売経費に含まれるものとは
販促ツール費・広告宣伝費・モデルルーム建築費などの広告・宣伝費の目安は、総売り上げ額の3~4パーセントというのが一般的です。また、モデルルームの建築費は借地代も含めて1,500万円~3,500万円程度とされています。
広告宣伝費が総売り上げの3~4パーセントとすると、販売戸数が30戸程度の小規模マンションの広告・宣伝費は200戸以上の大規模・タワーマンションに比べれば、計算上6分の1以下になってしまいます。 次に、小規模マンションと大規模マンションの売り方の違いをみていきましょう。
モデルルームをつくらない小規模マンションと つくる大規模マンション
そのため、小規模マンションはモデルルームをつくらず、キッチンなどの設備の一部をサンプルとして展示するサンプル・ルームにとどめたり、新聞・雑誌などのマスメディア広告をやめて、地元中心の集客に重点をおいたポスティングにシフトしたりして、広告宣伝費を縮減します。もちろん派手なパンフレットなどもつくらず、販促ツールも可能な限り簡素化します。
反面、大規模マンションは有名な映画俳優をイメージキャラクターにたてて大々的なCMを展開したり、巨大な販売センターをつくりプロモーションビデオを流したり、数種類にも及ぶパンフレット類を豪華な化粧箱に入れて見学者に渡したりします。 こうして見てくると、小規模マンションの広告宣伝や販促ツール、モデルルームが地味な理由はある程度納得できるのではないでしょうか。
大規模マンションの広告・宣伝費による、 買い手と売り手のジレンマ
一方、大規模マンションの派手なアプローチは、大量の集客をしなければ、全住戸を完売することが難しいという理由によるものといえるでしょう。
ですが、広告・宣伝費は物件価格に転嫁されているものであることは間違いありません。買う側の立場としては、少しでも安く売ってもらいたい、そのために、この広告宣伝費を出来る限り切り詰めて欲しいと思います。 一方、売る側の立場としては、切り詰めれば販売がうまくいかなくなるというジレンマがあります。この二律背反の命題をどう現実的に処理していくかが、不動産会社のマーケティング力となるのです。適切な購買ターゲット設定、売れ筋を押さえた価格設定、ターゲットに好まれる商品企画、短期間で効率よく売りさばく販売企画が、分譲マンションをてがける不動産会社の能力のみせどころとなるのです。
華美すぎないマンションは、販売経費エコマンション
そうした点からみて、大規模マンションにもかかわらず、販売センターが簡素で、モデルルームやパンフレットなどの販促ツールも華美過ぎないマンションは、販売経費を効率化し、極力価格を抑えようとしているひとつの表れと解釈できるでしょう。
また、青田売りで即日完売する物件は、価格設定が安すぎたことの証ともされます。概ねマンションが完成するまでに、全ての住戸が完売するペースでのマーケティングが理想とされています。もし、あなたが検討中のマンションで、完成まじかで売り出し住戸の残戸数があと数戸、というマンションは買って納得の物件といえるでしょう。
次に分譲マンションビジネスについて解説します。
マンションビジネスは案外儲からない?
それでは、不動産会社の利益はどのくらいか、というと、粗利20パーセントの中から、販売経費を除き、更に諸経費を除きますから、結果として利益率は8~10パーセント程度になってしまいます。他の業界で身近なところでは、ファミリーレストランで10パーセント、コンビニで9.5パーセントですから、マンション事業とほぼ同じ水準の利益率であることが分ります。
過当競争にある飲食、サービス業界とほぼ同じ利益率というのは、決して高いとはいえません。ただ、総売り上げで比較すると、ファミリーレストランの年間売上は1億4,400万円、利益1,440万円、コンビニは年間売上2億1,600万円、利益2,160万円です。かたや総戸数100戸・平均価格4,000万円のマンションの売り上げは40億円とケタが違います。
分譲マンション事業は、ハイリスク・ハイリターンビジネス
したがって、完成までに完売すれば、4億円の利益確保につながりますが、そこにいたるまでには、1.5年間を費やしますので、年間の利益に換算すると、2.6億円となります。他の事業と較べれば、利益絶対額は圧倒的に多いわけです。ただし総戸数の10パーセント、つまり最後の10戸が売れなければ、利益確保にはいたりません。しかも、最後に残る不人気住戸の販売は難易度が高く、販売期間が長期化すると販売経費が当初想定したより多くかかり、利益圧迫につながります。また、値下げして売ろうとすれば、それも利益減少につながるのです。
このように、分譲マンション事業はハイリスク、ハイリターンなビジネスというわけです。特に地価が右肩上がりで、不動産の投資が積極的だった1990年初頭までは、売れ行きリスクも少なく、結構儲かった時期もあったかもしれませんが、現在のように、不動産価格が低下し、需要も減退する市場においては、意外に儲からない、というのが実態かもしれません。

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