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一度の見学ですべてが分かる2モデルルームのチェック法

モデルルームには大きく分けて2つのタイプがあります。1つは建物が完成した後に、設けられる棟内のモデルルーム。もう一つは、未完成の建物のために、現地とは別のところに設けられる仮設販売所です。モデルルームは、実物のイメージを具体的に持てるようにチェックすると良いでしょう。
実物を確認できるので、安心な棟内モデルルーム
棟内モデルは、実物を目で確認できるので安心の反面、カラーセレクトができないのが欠点。 棟内モデルルームは、建物の竣工後または竣工間際に、実際の建物の中に作られるものです。モデルルーム以外に共用部分をじかに見ることができること、実際に検討する部屋からの景色や音が確認できること、実際の部屋の寸法を細かく確認できることなど、安心感があります。
欠点は、仕様変更が可能なマンションの場合、既に完成しているので内装の色やプランバリエーションが選べない点です。日当たりや騒音も含め、昼と夜両方行ってみることをお勧めします。夜間には昼間気にならなかった思わぬ音が聞こえる場合もあります。平日と休日共に行けば、さらに安心です。
竣工後にも販売中のマンションは、2008年以降、売れ行き鈍化に伴い増えています。見て確認できるという点では、歓迎すべき環境といえるでしょう。
未完成マンションは、実物を具体的にイメージできるようにチェックする
未完成マンションのモデルルームは、見栄えのする、広い住戸タイプの間取りで作られています。さらに例えば3LDKを2LDKに間取り変更するなど、室内がより広くゴージャスに見える工夫もされています。大きいものから小さいものまで、さまざまな専有面積の住戸が混在するマンションでは、シングル向けの1LDK、2LDKのモデルルームは作られていないことが多いようです。
自分が検討している図面とモデル住戸を見比べ、何が共通で何が異なる部分なのかを意識して見るしかありません。
こんなはずでは?のオプション仕様に要注意
また、モデル住戸には、オプション仕様の仕上げ設備が多く取り入れられているのが一般的です。何が標準仕様で何がオプションなのか、よく注意しないとあまりのギャップに入居後に、こんなはずでは?ということになってしまいます。洒落た家具や備品で飾られ、日常生活につきものの雑物は一切ありません。今自分が住んでいる居間に何が置かれているか考えてみましょう。新聞、読みかけの雑誌、一寸取っておきたいDMなど、実際の住まいには雑多なものが置かれているものです。
寝室にはベッドがゆったり置かれています。しかし、モデルルームによっては小さめのベッドを置いている所もあります。クローゼットには服が数枚掛かっています。何千万円もするマンションを買う人が、この小さな収納に入るだけの服しか持っていないはずないだろう、と思うことがたびたびあります。   見た目の豪華さや美しさに惑わされずに、自分が検討している住戸の間取り図と比較しながら、冷静にチェックすること。モデルルームによっては、標準仕様からあまりにかけ離れた空間構成のため、見ない方がかえって思い違いをしないで良いと思うことさえあります。 当サイトのマンション評価を担当している一級建築士が語る、現実の暮らしに必要なモノ、そうでないモノを見極める極意を次にご紹介しましょう。 現実の暮らしに必要なモノ、そうでないモノを見極める
マンション評価ナビで評価を担当している一級建築士は、次のように言っています。
「最近キッチンのレンジフードは上面が平らになっている機種が多く使われています。きれいなデザインです。しかし、平らな上面は油汚れが溜まる場所。踏み台に乗らないと掃除が出来ない所なので、清潔に保つのが大変です。キッチン収納の扉も表面がザラザラしているエンボス加工されたものもあります。見た目は感じ良いのですが、サッと一拭きでは汚れがとりづらい場合もあります。掃除のしやすさの視点から見るのも一つの手かと思います。   収納は実際の持ち物、特に大型の物の置き場所を要チェックです。
スーツケース、季節外の布団等の置き場所です。掃除機や古新聞の収納場所も当然考える必要があります。
天井の出張りが何なのかも聞いてみてください。梁の出張りでしたら当然移動することは出来ません。排気ダクトであれば多少の移動は可能です。将来、間取り変更を伴うリフォームの時に影響します。   設備ではディスポーザーは後付け出来ませんが、その他の設備は将来お金さえ出せば設置できるものがほとんどです。最新の設備とか、一見便利そうな設備付きだから、といった理由だけでマンションを選ぶのは避けたほうがいいでしょう。」
時間を有意義に使って、モデルルーム見学を
さらに、私が不要だと思う点についても付け加えておきます。販売センターで必要なことをチェックするのにかかる時間は、だいたい2時間前後。忙しいシングルにとって、休日は貴重な自由時間です。大規模タワーマンションのパビリオンなどに行くと、最初に見せられるイメージ刷り込みビデオは、時間がもったいないので、見ないほうが良いと思います。欧米系のモデルが夜景を見ながらワイングラスを傾けていたり、「天空に広がる上質な暮らし」といった背中がくすぐったくなるようなナレーションが流れたりするのですが、冷静に比較検討するための情報はあまり盛り込まれてはいません。案内されても時間がないからと言えば、無理強いされることはありません
。 次のページでは、モデルルームにある模型の見方をお教えします。実は、この模型から、多くの情報を得ることができるのです。 モデルルームより模型のほうが重要 シングルにとって、対象住戸とはほど遠いモデルルームより、真剣にチェックしたいのが、模型です。ここで大半の時間を費やすくらいで良いと思います。模型コーナーではまず、マンション周辺の説明を聞きます。いきなりマンションのことは聞きません。住み心地を決める要素のうち7割がたは立地だからです。また、気に入らないからといって、周辺環境は自分の力では変えられないので、心してチェックします。 模型を見ながら、マンションから駅までの距離・使える路線、スーパーや病院が歩ける距離にあるか。新駅や駅前開発の計画がないか。働く女性には外灯の明るさや引ったくり・痴漢の状況なども気になるところです。将来の周辺開発計画の有無など。マンション周辺の道路の大きさや交通量・騒音量・空気汚染度、緑・公園の多さなど。ここでどんな暮らしができるか、将来の暮らしにどんな変化があるか、といった情報を収集します。   次にマンションに隣接している建物の位置・間隔・向き・高さや、道路付けを確認します。隣接する建物との間隔がつまり過ぎて、日当たり・採光・通風に影響しないか? 眺望はどうか? 外からの視線が気にならないか? 将来目前に、高い建物が建つ計画はないか? などを聞きます。暮らしやすさの良し悪しを、模型は雄弁に語ってくれます。 ところで、模型が広範囲に造られている場合は、立地や周辺環境におおいに自信がある物件です。最小限の範囲にとどまるときはその逆が多いので、余計に根ほり葉ほり質問します。
共用施設から価格帯なども模型を見ながらチェック
引き続き模型でマンション自体の確認に入ります。共用施設の位置と内容、エレベーターの位置と数、車の出し入れがしやすい駐車場か?駐車台数と料金は?ゴミ出しの方法は? など、模型を見ながら使い勝手を想像します。  さらに、各住戸の価格設定の傾向もここで確認します。南向きと西向きの価格差は? 階数ごとの価格差は?などです。私は平均坪単価も必ず聞きます。この単価がマンションの水準・グレードを見る一つの目安になるからです。マンションを飛行機にたとえれば、坪単価200万台はエコノミークラス。300万台はクラスJ。400万台はビジネスクラス。500万台以上はファーストクラスといったところでしょうか。クラスに応じたグレードかどうかを判断するわけです。 ここまでくると、自分が対象とするのがどの棟のどのタイプの何階あたりか、ということが見えてきます。もちろん、「今回は見送りだな」ということも。このように買う・買わないの大まかな判断は、模型コーナーの情報収集でできてしまうのです。   モデルルームの見方とは、売り手が提示するイメージと現実との乖離を見極め、より具体的に自分が住む周辺の立地、棟全体、対象住戸について、より現実的かつ具体的に把握することが大切です。 次に、大規模マンションには付きものの共有施設のチェックポイントを教えてします。どんな施設に利用価値があるのでしょう。
大規模マンションならではの共有施設のチェックポイント
大規模マンションには豪華な共有施設付きのものも見られます。未完成の場合、はたしてどんな施設に利用価値があるのか、今ひとつピンとこないものです。そこで、マンション評価ナビの評価者である一級建築士からのアドバイスです。
「最近、居住済みの大規模マンションを数棟見学する機会がありました。そこで見た共用施設についてご報告します。 エントランスロビー マンションの顔であるだけに様々なデザイン、仕掛けが工夫されています。水をあしらったもの、広いスペースにゆったりと高級椅子が何脚も配置されているもの。そこは一寸した接客スペースとなっており、部屋まで上げる必要のない来客との話の場として利用されます。しかし、何組もの豪華応接セットが置いてある割には利用しているのは極少ない人数でした。水の仕掛けが故障して工事を待っている状態のところもありました。私が一番気持ち良く落ち着いたのは、ヒューマンスケールで2組の応接セットが置かれたMマンションのロビー。広くもなく、きらびやかな飾りはありませんが清潔なロビーからこれも手入れの行きとどいた緑豊かな庭が眺められる、上品なスペースでした。 スカイラウンジ タワーマンションの上階に設けられたラウンジです。とても眺めが良い位置に配置され、ソファーなどが置かれています。しかし、いくつもの場所を見ましたが利用者が居たのは2か所のみ。時間帯にもよるのでしょうが、話を聞いても「あまり利用する方は居ませんね」との答えがほとんどでした。特定の日、花火大会の日などはとても人気のようですが、普段はまず使われないそうです。タワーマンションに住む知人も「お客が来ると一応見せに行くけれど、ただ見るだけで利用はしない。わざわざエレベーターに乗って行くと思う?」とのこと。マンションによっては「飲食禁止」の貼り紙もありました。ラウンジはくつろぐためのもの、くつろげばコーヒーの一杯も飲みたくなるのですが、たぶんマナーの悪い利用者が居たのでしょう。一方、夜一定時間にバーが開店するところもあり、ここは利用者が多いようです。 ゲストルーム 安いところではリネン代のみ、一般的にはビジネスホテル程度の価格で宿泊することが出来ます。親戚、友人の宿泊に利用されますが、週末や年末年始など特別な日の利用希望者が重なり、だいぶ前から予約が必要のようです。しかし、一般平日は空いていることが多いようです。 パーティールーム これも花火大会や新学期、年末などの特別な期間の利用は多いですが、一般平日の利用は少ないとのこと。 ジム、フィットネス 私が見たなかで一番利用者が多かった施設です。昼間はシニアの方や主婦が、夜は仕事から帰った方が汗を流していました。トレーナーを着てタオルを持ち気軽に運動に出かけ、そのまま部屋に帰ってシャワーを浴びられる。なるほど、便利で利用者が多いのもうなずけました。ただし、別の評価者が調査したマンションのフィットネスは閑散としていたそうです。周辺にジムやフィットネスクラブが開業していたり、シングル、ディンクスなど平日は夜遅くまで仕事という居住者が多いマンションの場合は、利用者が少ないことも予想されます。 キッズルーム あまり利用者は見かけませんでしたが、キッズルームで知り合ったお母さん同士が親しく交流をするようになる、という話も聞きました。又、廊下やロビーで子どもが遊ばなくなる効果もありそうです。いろいろな施設を見て気づいたのは、「目的のある施設は利用されやすい」ということです。ラウンジやライブラリーといった曖昧な場所は利用されづらい。入居すると物珍しさに一度は使ってみるらしいのですが、その後は利用しない。ジムやバーなどはっきりした利用目的のある施設は盛況です。又、ファミリータイプの多いマンションはマンション内で長時間を過ごす人が多いので、当然施設の利用者も多くなります。 大規模マンションではこれらの共用施設を「売り」にしている所が多くあります。別に利用する人が少なくてもかまわないじゃないか、と考える方もあるかもしれません。でも、住戸の販売価格にはその誰も利用しない施設の価格も含まれています。又月々の管理費も使われているわけです。 "豪華な施設があるから、何となくいい感じ"という視点ではなく、"本当に自分が利用する施設なのか"を自分の生活パターンから想像してみる必要があるでしょう。又、せっかくの施設が充分機能するような利用規約が大切だと思いました。」

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