Home > マンション選びの新基準 > | こぼれ話 > 築44年のマンションを買って大丈夫?

築44年のマンションを買って大丈夫?

築44年のリノベマンション、買っても大丈夫ですか?
現在、リノベーション済みで内装が気に入ったマンションがあります。価格も予算内なのですが、築40年超というところが気になります。こんなに古い
物件、買っても大丈夫でしょうか?
【検討中の中古マンションの概要】
○ 価格 3670万円
○ 交通 東急田園都市線 池尻大橋駅徒歩8分
○ 広さ・間取り 61.76平米・2LDK
○ 築年 1970年築
○ フラット35適合物件
○ リノベーション済み
古くても「フラット35適合マンション」は安心の目安
概要の主な項目を見る限り、立地、価格、間取りのバランスがとれている、好条件の売り物件だと思われます。ただし、このマンションは、築44年と相当に古く、耐震性、耐久性、維持・管理の状況などがおおいに気になるところです。その点、住宅金融支援機構が定める、フラット35適合条件をクリアした物件ということであれば、ひとまずは安心といえます。 ここでは詳しい条件についてはふれませんが、耐久性については、外壁や柱に鉄筋の露出がなく(あれば、鉄筋が錆てコンクリートがぼろぼろな状態)、耐震性については、平面形状が著しく不整形ではなく、ピロティ部分が偏在していない倒壊の危険性が低い構造、維持管理については、毎月管理費・修繕積立金を徴収し、建物の維持・管理をする費用があるということですから、ひとつの安心の目安とはなるでしょう。
住んでみないと分からないことは、修繕履歴、管理組合議事録で確認
ただし、古いマンションは、実のところは住んでみないと分からないこともあるものです。たとえば、築20年を超えると多くのマンションでは水漏れが発生します。自室内で水漏れが発生すると、そこでは暮らせない!という事態も発生します。 また、建て替えか大規模による延命かという検討が始まっているかもしれません。さらに、古いマンションにありがちですが、賃貸住戸比率の上昇や居住者の高齢化により生活上のトラブルも発生する可能性があります。こうしたことは、1、2回の現地見学だけではとうてい発見できるものではありません。 では、どうするか? マンションの修繕履歴、管理組合総会や理事会の議事録の過去数年間分を、仲介会社の担当営業マンを通して見せてもらいかしょう。過去に遡ればのぼるほどそのマンションで何が起きているかが分かります。 さて、今回の相談者はこれを受けて、速やかに修繕履歴や議事録を手配し、入念にチェックしました。その結果、以外な事実が浮かびあがってきたのです。
検討中のマンションには意外な事実が判明
まずは、フラット35適合マンションというお墨付きがあっても、老朽化による生活被害からは免れられないということが次のようなことから判明しました。 年に何回も屋上や住戸内からの水漏れが発生し、そのたびに修繕工事がなされている ガス漏れも発生している ネズミが発生し、建物内を走り回っている 古くなればなるだけ、修繕にかかる費用は嵩むものですが、この先の建物の維持・管理において、次の不安があることも分かりました。 次の大規模修繕にかかる費用が現積立残高では不足し、早晩修繕積立金の値上げが必死である 滞納者も複数おり、資金計画は良好ではない 様々な居住者が住んでいるため、生活習慣やマナーが異なると堪忍袋の緒が切れ、トラブルに発展することもありますが、そんな事象があることも分かりました。 3階住戸の臭気に管理組合だけでは処理しきれず、自治体等も関与し改善を求めている こうした事実をうけて相談者は、新婚生活を新居でと流行る気持ちをグッと抑えてこのマンションの購入を見合わせました。実に賢明な判断だと思います。
古いマンションの重要確認項目1:構造・性能
相談者が検討しているマンションで判明した事実は、古いマンションでは程度の差こそあれ、決して珍しいことではありません。要は問題発生時に適切な対応がとれる構造・性能になっているかが重要です。 耐震性については1981年以前に建てられてものであれば、耐震調査の有無、その上で耐震補強が必要な場合は補強工事の有無を確認することが必要でしょう。耐久性については、長期修繕計画に即してしかるべき時期に建物調査を行い、工事すべき箇所について時期を逃さずきちんと工事しているかを見るべきでしょう。 水漏れなどが発生した際に、修繕工事がしやすい配管になっているかなど建物の性能表示の有無、有る場合は等級についても確認するべきでしょう。現在一番良い性能のものは長期優良マンションですが、数はまだ多くはありません。
古いマンションの重要確認項目2:維持・管理
また、構造・性能が大丈夫でも維持・管理がきちんとなされていなければ、古くなればなるほど住みにくくなってきます。適切な長期修繕計画やそれを実行するための費用としての修繕積立金の残高が適切な額かどうかも確認しておく必要があります。 古いマンションは新築と違い、構造・性能、維持・管理の確認がとても重要です。構造・性能については素人では判断できない、と不安な方はインスペクションの会社に依頼するのもひとつの方法です。費用は6~8万円程度。 維持・管理については、修繕履歴書、管理組合総会・理事会議事録で確認できます。ただし、マンションによってはこれらの書類を依頼しても見せてくれないところもあります。私はマンション評価ナビの運営を通して、こうした実態を見てきましたが、傾向として評価の高いマンションほど書類の公開は積極的です。 古くても安心なマンションかそうでないかは、書類公開がひとつの目安といえるでしょう。

Comments:0

Comment Form

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.mansion-hyoka.com/mt/mt-tb.cgi/223
Listed below are links to weblogs that reference
築44年のマンションを買って大丈夫? from マンション評価ナビ・評価者ブログ

Home > マンション選びの新基準 > | こぼれ話 > 築44年のマンションを買って大丈夫?

カテゴリー
最近の投稿

ページのTOPへ戻る