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空き家の増加でマンション立地の選び方が変わる

2013年の日本の空家数は約820万戸。空家の内訳を見ると、過半数が募集しているが借り手のついていない賃貸用の空家が429万戸、放置されている住宅(親が亡くなり相続したが放置されている住宅や募集せずに放置されている賃貸住宅)が318万戸と多くを占めています。売りに出しているが買い手がつかず空家になっている一戸建て、マンションも約31万戸ほど存在しています。
都心部の持ち家マンションですら、空室率は20パーセントを超えている
こうした空家は、地方や大都市圏の郊外部に多く、都心部のマンションには少ないといった印象を持っておられる方は多いのではないでしょうか。 2008年のデータなので、ちょっと古いのですが、東京都の区別持ち家マンションの空室率を見てみると、意外なことに20パーセントを超えている区が散見されるのです。しかもマンション立地としては人気のある千代田区、中央区、渋谷区などがです。 〈2008年のデータ〉 千代田区......約20パーセント、中央区......約37パーセント、港区......約8パーセント、渋谷区......約21パーセント、新宿区......約16パーセント、目黒区......約12パーセント、品川区......約19パーセント。 最新のデータによれば千代田区は約36パーセント、中央区は約28パーセントと空室率は上昇の一途を辿っています。 この事実は、マンション立地として人気が高いからといって千代田区アドレスや港区アドレスであればどこでもいい、といった面で立地を捉えるのではなく、点で立地を見ていく必要があるということです。点とは最寄駅を中心とした街単位がひとつの分かりやすい目安になると思います。 では、今後のマンション立地選び、つまり街選びはどのように考えればいいのでしょうか。
衰退しにくい街を見分ける
一つ目は、衰退しにくい街を見分けることです。そして街とは自宅もしくは最寄駅を起点に徒歩30分圏あるいは気軽に自転車で外出できる範囲というのが目安です。また、人口減により、将来にわたり発展し続ける街は極めて少ないため、せめて今より衰退しない街を見分けることが必要です。 そのための視点は3つあります。
1、 オフィス集積地から乗車時間20分、ドアツードアでも30分以内にある街
住宅地は徐々に都心部へ向けて収縮しはじめています。すでに地方都市ではコンパクトシティ化が進んでいます。職住近接が可能なより利便性の高い立地であれば、人口現による需要減にも対応できる可能性があるということです。
2、 遊・学・働・医・住の機能が充実している街
住宅だけの街には居住目的の人々しか集まりません。オフィスだけの街であれば、働くことを目的とした人々しか集まりません。単一機能しかない街はそこに集まる人を限定してしまい、街としての広がり、つまり発展には限界があるのです。できるだけ多機能な場や機会があれば、それを目当てに多様な人々が集まって来て、更に集まる人を目当てに新たな機能が付加されるという相乗効果が生じ、街は充実していき、衰退の速度が遅くなります。
3、 幅広い年代層の人々が集まる街
住む人、働く人など色々な目的で集まってくる人の多様性だけではなく、子どもから高齢者まで多世代が集まる街であることが重要です。特定の世代しか集まらない街は限定的で広がりをもちません。人の新陳代謝がうまくいかず、必ず衰退していきます。長年、住んでみたい街で人気ランキング上位にあがる、吉祥寺や横浜などは、どの年代層からも支持されているのです。
これらの視点は私が運営するマンション評価ナビの評価の視点でもあります。 でも、この条件に合った街だからといって、30年、50年と長い間、街の活力が保てるかというとそうではありません。将来、最先端の魅力ある再開発により別のところが活力のある街に生まれ変わると、人々の視線はそちらへ向かい、かつて人気のあった街は相対的に精彩を欠き、徐々に立地の魅力や価値が低下していきます。 つまり、魅力ある街は流動的なのです。東京圏を見渡すと、六本木ヒルズや東京ミッドタウンの開発でひところ六本木が注目されました。現在は五輪効果で晴海を中心とした湾岸エリアが、更には山手線田町、品川間の新駅周辺というように、次から次へと注目の街は今後も移り変わってくるのです。
10年単位で、より活力のある街へ住み替える
二つ目は、次々と登場する有望な街(立地)のおっかけになる、ということです。常に最先端の利便性を優先するマンション居住者でありたいと考える人は、新たに生まれ変わる魅力ある街を求めて、自らの居住地を流動化させる必要があります(もちろん、気に入った街に一生住み続けるという選択もあります)。 そのためには、マンション居住者が意識すべきは3点です。
1、マンションは永住するものではなく、住み替えていくもの
前述の1~3の条件にあう街も10年もすれば魅力が薄れることも。10年程度で活力のある街への住み替えを繰り返せば、常に時代に応じた利便性の高い暮らしが可能となります。前述の1~3の条件に合う街であれば、著しい価値の低下はなく、資金的にも比較的スムーズな住み替えができる、という前提あってこそではありますが。
2、相場が高いときに売り、安いときに買う、という買い替えのメカニズムを踏襲
人口減少により長期トレンドで見る限り、住宅価格は下落します。しかし、中古住宅価格の変動を定期的にウォッチングしていれば、短期的には景気動向により小刻みに上昇、下落を繰り返すというのが分かります。そこで価格上昇局面で売却し、下落局面で次のマンションを購入するというタイミングを計るというわけです。大都市圏のなかでもとりわけ都心部に立地するマンションは「住まい」という面だけではなく、株と同じように「金融商品」としての側面も持っているのです。
3、自宅売却後、しばらくは賃貸住まいを良しとする
価格上昇局面で住んでいたマンションを
売却した後、すぐに新居を買うと高い価格相場での取得となってしまいます。さて、どうするか。ここは、いったん賃貸に引越し、価格下落を待ちます。価格上昇期には良い物件は強気の価格設定をしますし、様子見のため売り出しも少なくなり、買う環境は良好とはいえません。
次に住んでみたい街の賃貸に引越して、1~2年の期間、価格下落を待ちながら良い物件を気長に探す、というのが、ひとつの手ではないでしょうか。子どもの学区を変えたくないファミリーには難しいかもしれませが、移動の制約のない世帯であれば挑戦してみてもいいかもしれません。

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