■ケース6)30代半ば そろそろ子づくりカップル
プロフィール/夫(35歳・正社員・年収650万円)、妻(34歳・正社員・年収400万円)
資金計画/物件価格4200万円・頭金1000万円・住宅ローン3200万
20代や30代前半で、まだしばらくは夫婦共働きを続けたいというカップルなら、第6回で紹介した資金プランのように、妻が短期間の住宅ローンを借りたり、第7回の資金プランのように、収入合算で住宅ローンを借りるといった方法がよいでしょう。
ただし、そろそろ子どもがほしいと考えている夫婦の場合、妻の収入を住宅ローン返済の前提に置いてしまうと、リスクが大きくなってしまいます。これまで働いて貯めた妻の資金を、できるだけ頭金に充てることにして、その分は共有名義にしましょう。
■資金プラン1:夫単独で、定年までの返済期間で借りようとすると……
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借 入 額 |
返済期間 |
金 利 |
毎月返済額 |
超長期固定金利型 (21〜25年) |
2800万円 |
25年 |
2.87% |
13万0893円 |
※みずほ銀行の平成20年11月時点の超長期固定金利型(借入期間21〜25年)で試算
夫だけで住宅ローンを借りようとすると、年収650万円の範囲内で借りることになります。 これから子どもができて、妻が働けなくなる可能性や教育費の準備が必要になることなどを考慮すると、住宅ローンは年収の25%程度内に収めたいところです。毎月返済額は、13万円台半ばが目安となるでしょう。加えて、定年までに返済を終えようとすると、返済期間は25年まで。今月時点の全期間固定型のローン(25年以内)で低金利のものを探すと、資金プラン1のように、住宅ローンの額は、2800万円という試算になります。頭金1000万円を足した、購入価格は3800万円です。
■資金プラン2:夫単独で、返済に無理のない返済期間で借りる
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借 入 額 |
返済期間 |
金 利 |
毎月返済額 |
全期間固定 (フラット35) |
3200万円 |
30年 |
3.11% |
13万6819円 |
※みずほ銀行の平成20年11月時点のフラット35の金利で試算
妻が妊娠中というわけではないので、子どもができるまでは妻の収入も少しは当てにしたいという場合は、資金プラン2のような方法もあります。毎月の住宅ローンの返済額は、13万円台半ばですが、返済期間が30年、住宅ローンの借入額は3200万円という試算です。購入予算は、4200万円になりますが、問題は返済期間が定年後も続いていることです。
この解決法として、妻が働ける間は繰上返済に回し、返済期間を短縮する手がありますが、夫が借りた住宅ローンの返済に妻の収入を充ててしまうと、贈与税の対象となってしまいます。ちなみに、贈与税には、年間110万円までの基礎控除があります。1年間110万円以内の贈与は控除されるので、贈与税は発生しません。この範囲内であれば贈与税の問題はクリアしますが、計画的に分割して贈与をしたと見なされると、贈与税がかかる場合がありますので、注意が必要です。細かいケース事例は、専門的な話になりますので、税務署や税理士に相談をしてください。
●贈与税について
贈与税は、個人から年間110万円(基礎控除額)を超える財産をもらったときにかかります。
財産をもらった人が申告して、贈与税を税務署に納めなければなりません。基礎控除内の贈与なら、贈与税はかかりませんし、申告も不要です。110万円を超えて200万円以下の部分にかかる税率は10%で、額が増えるほど税率も上がります。これを、「暦年課税」といいます。
65歳以上の親などの法定相続人から、生前贈与の形で財産をもらった場合に選択できる「相続時清算課税」の制度もあります。これは、2500万円までの非課税枠の贈与なら、相続する際に相続税の対象として精算するものです。これには特例があり、住宅取得などの資金に限っては、親の年齢を限定せずに、さらに非課税枠を1000万円上乗せできるというもので、現在は平成21年12月31日まで適用となっています。
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