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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.94 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

都市景観を語る言葉 (25)Oh! My Dog!

アーキネット代表・横浜国立大学IAS客員教授 織山 和久

動物保護の先進事例

日本では2014年度に21,593頭もの犬が殺処分されている。10年前が155,870頭だったのでかなり改善はされたが、飼い主の気変わりや事情などで放棄あるいは収容所に持ち込む例が後を絶たない。
しかし調べてみると、動物愛護に関しては先進的な取り組みがなされている例が見られた。
具体的には

・登録:飼い犬及び野犬の登録台帳を一頭ずつ作成して管理し、死亡時には検死を行う。
放棄・処分等の逸脱した行為には罰則が与えられる
・野犬保護:野犬についても街区単位で養育することを義務付ける
・ノーリード:政府要人が通行するときでも、犬を繋ぐ必要はない
・車による事故防止:車で犬を轢かないように、車の方に監視機能を持たせる
・保護施設:病気ないし獰猛な野犬については、80万?もの広大な敷地(東京ドーム17個分)に
運動・治療・安息のための保護施設を置き、専門スタッフが常駐して8万2千頭もの犬を保護する。
・保護犬補助金:保護犬を預かるグループには、養育のための補助金が支給される
といったルールである。

 こうしたルールは現在のドイツやオランダなどでも見られるが、上の例は過去の日本の事例、すなわち1685年以来の将軍綱吉による「生類憐みの令」である。サムライの暴力による統治から、徳による統治への転換が狙いであった。こうして殺処分ゼロ、犬と共に暮らす社会は、数百年前の日本においてすでに実現されていたのである。


犬と暮らしやすい街

木陰の落ちる歩道は、日差しがきついときにも気持ちよく散歩できる

 残念ながらいまの都市は、犬にはなかなか暮らしにくい環境である。道路の大半は自動車のものだ。公園の芝生も、犬は立ち入り禁止。歩道も狭く、歩行者とのすれ違いにも難儀する。歩道も舗装されて、炎天下では足裏の火傷や照り返しによる熱中症も起こる。鉄道などの移動でも重さ10?以下(かご含む)、と中型犬は無理だ。そして、都の条例では、昔庭先で番犬にしていた時代の発想で、飼育・散歩でも犬を鎖や綱に繋ぐことを求めている。犬は、人の最良のパートナーなのだが、そのための都市環境にはなっていない。

犬は一言も文句を言わないが、お気に入りの街の条件として
(1)木陰の落ちる、ゆったりとした露地の散歩道網が多様に連続している
(2)犬や飼い主同士が集まって、挨拶し合うたまり場がある
(3)飼い主と一緒に、ちょっと腰かけて休憩する場所・店舗があちこちにある
(4)思いっきり走り回れる広場がある
(5)飼い主といつも一緒、バスや電車であちこち移動できる
(6)いずれも車の危険がなく、トレーニングスクールを修了すればノーリードで歩ける
(7)犬の基本的生存権が認められている

といったことを密かに願っていると感じる。

犬にも人にも優しい社会

左 / 散歩の途中、ちょっと腰かけて水分補給
右 / たまり場で、犬同士、飼い主同士でコミュニケーションをとりあう

 少し考えればわかることだが、こうした犬が暮らしやすい街は、人にも暮らしやすい街である。
気持ちのいい歩道のネットワークは、お散歩やジョギングコースとしてもふさわしい。子どもたちにとっても、人の目が合って車の心配がなくて歩き回ったり、広場で駆け回ったりして遊べる環境は得難いものだ。排気ガスや騒音の心配がなくて、豊かな緑や青空を眺めながらオープンカフェでのんびり寛ぐのは、都市の大きな魅力の一つである。「ちょっと触ってもいいですか?」と犬を仲立ちにして、見知らぬ人同士が会話を交わせるのも、貴重な社会体験である。犬が人の間にいると、ひとりぼっちにはならない。そして、犬に優しくなれる社会は、差別や拘束・拘禁のない人にも優しい社会になるだろう。
もし、こうした街をみかけたら、”Oh! My Dog!” と言って心から祝福しよう。犬がののびのび過ごせる公園がある、ということでその街に越してくる人も少なくないのだから、自治体としても取り組む価値があるのではないだろうか。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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