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価値を高めるリフォーム「リノベーション」vol.6 


「新築・中古」を越えた選択肢
今、注目のリノベーション

第六回 最終回 『こんな人に選ばれている!リノベーションという暮らし方』

株式会社リビタ 土山 広志

 こんにちは。リビタの土山です。いよいよ今回でリノベーションコラムも最終回となりました。今までリノベーションの市場やニーズ、業界の動きを通してリノベーションが注目される理由を紹介してまいりましたが、最終回は実際にリノベーションという住まいを選択した当社のお客さまの事例とともに、私が考えるこれからの住宅購入のあり方についてお話いたします。

■リノベーションのお客さま 事例紹介

【case1】リノベーション済を買う
都心で働き、都心を楽しむ!
〜ヴィンテージマンション×リノベーション、という選択〜

[DATA]
 所在地:東京都港区赤坂/家族構成/男性一人暮らし/広さ:51.92平米/間取り:2室のオフィス→ワンルーム(仕切りタイプ)/既存竣工年:昭和52年9月/リノベーション竣工年:平成18年10月/タイプ:リノベーション・マンション・一戸ユニット

[きっかけ]
 会社の寮に住んでいたが、早い段階でマンションを購入したいと考えていた。海外出張も多く、普段は仕事が中心。仕事でもプライベートでもアクティブなライフスタイルが実現できる都心マンションを検討中に不動産会社に勤める知人から現在のマンションを紹介される。今までにない個性的な建築デザインと、徹底したリノベーションの完成状態を一目で気に入ったという。

[ReNOVATION]
 Aさまの購入されたお住まいは、当社と建築家 小泉雅生氏とのコラボレーションによって設計されたリノベーション済マンション。戸境壁(隣の部屋との間の壁)が模窓風な奥行きのある造りになっており、そこは目線が部屋の内部に分散される効果とディスプレイ機能が共存している。また可動間仕切りを使わなければ広いワンルームになるという機能的かつクリエイティブな空間。

(左)戸境壁に模窓のような空間を創り、目線を部屋のさまざまな方向へちらばせている(中央)部屋の中央に設けられた黒いキッチン。水周りを室内中央に設置する大胆な発想で、その周りを回遊できるようにした。(左)バルコニーと玄関側に創られたタイル張りのエンガワ。

【case2】 共用部もリノベーションされた自由設計可能なマンションを買う
脱却!マンション然の家
〜一棟まるごとリノベーションで、丈夫な「ハコ」、買いました。〜

[DATA]
 所在地:神奈川県相模大野市/家族構成:夫婦2人/広さ:72.8平米/間取り:3LDK→2LDK+S/既存竣工年:平成3年3月/リノベーション竣工年:平成19年9月/タイプ:一棟まるごとリノベーション

[きっかけ]
 もともと住まいに対するこだわりがあり注文戸建を考えていたが、リノベーションマンションの広告チラシをみて見学へ。専有部だけでなく共用部までリノベーションされていることに安心を覚え、かつ自由設計ができることに魅力を感じた。こだわりの住まいを戸建注文より安く創れるというのも魅力だった。

[ReNOVATION]
 建物全体を一棟まるごとリノベーションしたマンションで、外構・敷地内の意匠デザイン、耐震性など建物全体の安全性はもちろんのこと、オール電化やインターネット環境、セキュリティなどさまざまな生活インフラがすでに整備されクオリティが向上されているため、お客さまは自分が購入した専有部をつかって自由に住まいを創ることができる。Bさまは自分の住まいを「丈夫なハコ」と考え、建築家とともに憧れの住まいを実現させた。

(左)玄関をあけた廊下。マンションの室内廊下は暗く閉塞感があるため、廊下の両側にある室内の壁をガラスブロックに。しかも両部屋の壁の色は薄いパープルと薄いブルーの塗料で塗られ、ガラスブロックにうっすらと部屋の色がうかびあがっている。光を含んだ開放感ある廊下が実現した。(中央)キッチンを上から眺めたところ。ムダな設備を一切省き、シンプルでコンパクトなキッチンへ。(右)リビングは戸境壁に洞穴のようなニッチをつくり、一方はTV収納、もう一方は寝転んだり座ったりできるくつろぐスペースへ。

【case3】 物件探しから設計、施工までオーダーメイドなサービスを利用する
無いなら、つくる!こだわりの叶え方
〜自分で中古マンションを買い、自由設計して手に入れたこだわりの家〜

[DATA]
 所在地:神奈川県横浜市/家族構成:夫婦2人/広さ:73.21平米/間取り:4LDK→ワンルーム(仕切りタイプ)/既存竣工年:平成2年2月/リノベーション竣工年:平成19年5月/タイプ:リノベーション・コーディネート・サービス

[きっかけ]
 社宅に住みながら住宅購入を日々検討していた。最初から新築マンションは考えておらず、自分たちで自由な住まいを作りたいと考えていたところでリビタのリノベーションセミナーに参加。実際のリノベーション住宅(オープンルーム)を見学し、自分たちが住みたい家を手にいれるにはリノベーションだと確信したそう。

[ReNOVATION]
 人気の沿線「東急東横線」で、横浜寄りの各駅下車駅の街に中古マンションを購入し、リノベーションされたCさま。快速が停車する主要駅ではないけれど、緑が溢れ、季節が感じられて、行き交う人が穏やかな日常に満たされているような光景をみて、ここに住みたいと思ったそう。自分たちが住みたい街で、自分たちらしい住まいを実現するために選んだ選択が、中古マンション×建築家とともにつくるリノベーションだった。

(左)家具屋さんにオーダーした完全オリジナルのキッチン。床の素材と同じムク材を使用し、さらに使い勝手を考えて高さは奥さまの身長にあわせた。(中央)赤い扉は17世紀から続く京唐紙の『唐長』を張った。柄は夫婦で選んだ『向こうむき兎』柄。(右)中二階風の畳を敷いた寝室スペース。下は収納になっている。

■リノベーションという暮らしを選んだ人たちの「共通点」とは

・誰かのために作られた家ではなく、自分たちだけの家を買おう、創ろう
 リノベーションの事例はいかがでしたでしょうか?写真をみただけでは個性的な住まいと思われるだけかもしれませんが、その個性というのは、そこに住んでいる“人”が確かに存在する証です。3つの事例のお客さまの共通点は、住まいに対して「自分軸」があること。自分の居心地のいい家・住空間を創ることは、自分に似合う服を着ること、自分の好きな音楽を聴くことと同じ感覚でいいのだと気づいた方たちなのです。彼らは新築至上主義ではなく、自分らしさ主義。不動産市況やマンション事業者の宣伝、流行に惑わされることなく、自分たちにとって納得の価格、正当な資産価値、自分らしい住まいの基準をもっている。これからの住まい選びの基準、というより、本来の住まいの基準はここにあるといえるでしょう。

・家は、人と社会をつなぐコミュニケーションスペース
 また住宅購入層の人たちは、なぜこうした事例のように住まいに対して個性を表現するようになったのでしょうか。それは家という存在が単なる住処ではなく、人と社会をつなぐコミュニケーションスペースになってきたということが考えられるのではないでしょうか。
 当社でリノベーションをされたお客さまのお声からは、ご自宅に人を招く機会が今まで以上に多くなったと聞きます。みなさんにおかれましても、仕事仲間やプライベートの友人を自宅に招いたり招かれたりした経験がありませんか?自宅に招く、招かれるということは、そこに住む人(ホスト)のパーソナルな部分を垣間見る、垣間見せるということです。つまり、自分の家を居心地がいいもの、好きなもので創るということは、自分とつながっている人たちに対するコミュニケーション手段になっているのです。
 プライベートでありながら、パブリックな存在へ。人間関係が友好的になれる役割が、これからの住まいのあり方として当たり前になっていくでしょう。

■これからのリノベーション。安心と快適と楽しさが共存する住まいのために

 リノベーションがまだまだ一般的でない現在、実は我々事業者自身が大きな課題に直面しています。その課題のひとつとして、今まで各社が独自に定義付けされてきたリノベーションの定義、範囲、価値に対し、そろそろ統一されたスタンダードな基準が必要であるという認識です。中古マンションのストック(空室)が毎年増えている中で、安心して快適に楽しく暮らせるリノベーションの基準が明確にされないままではリノベーション市場の確立はありえないのです。お客さまが公的な基準で正しくリノベーションを理解し選択できる環境を整備すること。その整備をすることで、日本の住宅マーケットは、新築、中古、リノベーションが出揃い、いよいよ活気づいていくことでしょう。

 そんな思いを実現させるための第一歩が、実は動き始めています。現在、当社を含むリノベーション事業者数社と某メディアが集まり、「リノベーション協議会」の準備をすすめています。住宅市場にリノベーションという分野を確立させる活動です。来年の2009年は住宅市場におけるリノベーション元年となるでしょう。

 最後になりますが、私自身が思う「リノベーション住宅」の定義。それは…

 リノベーション住宅=人生を楽しみ、バランスよく生きる住宅購入の選択

 です。もっと砕けていうならば、リノベーションってかっこいい。かっこいい生き方である。ということ。リノベーションを選ぶということは、住宅に関わらず旧いものを大切にするとかまだ使えるなら新しいものを買わないとか、ムダなゴミを削減するということとつながっていると思っています。例えばおじいさんからもらった腕時計。確かに古いし傷もあるけれど、おじいさんの頃からずっと時間を刻んできた姿にはとても思いが込められているし、自分の腕にしっくりくる感じも着け心地がよくて気に入っている、ということがあるでしょう。また、おばあちゃん、お母さんから代々受け継いだパールのネックレス。娘の幸せを願って、おばあちゃんからお母さんへ、そして孫(娘)へと代々受け継がれてきたアクセサリーは、高級ブランドの最新作よりも、その人にとっては最高の価値があるはず。そんなふうに人が決めたかっこよさではなく、自分がきめたかっこよさ、自分で「これはいい!」という自分基準の価値判断でモノを選んでいく生き方、それがリノベーションの根底にある定義なのだと私は思っています。
 これからも、そんなメッセージとともに、リノベーション住宅の魅力を広めていきたいと思います。みなさまも、自分にとってかっこいい!住まいを実現してください。
 全6回に渡ってお付き合いいただきありがとうございました。

土山 広志(つちやま ひろし)
株式会社リビタ クリエイティブオフィス マネージャー兼 PR&コミュニケーションデザイン室 マネージャー。大学卒業後、大手デベロッパーでマンションや商業施設の企画・開発を多数経験。2008年1月よりリビタへ入社。様々な分野のマーケティングに精通し、リノベーションを通してこれからの住まいのあり方を提唱している。

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