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価値を高めるリフォーム「リノベーション」vol.4 


「新築・中古」を越えた選択肢
今、注目のリノベーション

第四回 『新築vsリノベーション?or中古vsリノベーション?』
〜市況に左右されない住宅はどれだ!?〜

株式会社リビタ 土山 広志

 みなさんこんにちは。リビタの土山です。第1回から第3回まで不動産マーケットの動向を中心にお話をしてきましたが、その前に、そもそもの話ですが、みなさんはリフォームとリノベーションの違いについてご理解いただいておりますでしょうか?そして新築や中古とどう違うのかご存知ですか?今回は、住宅購入検討の前に知っていて欲しいそれぞれの特徴を通して、リノベーションの基本を知っていただければと思います。

1.そもそも、リノベーションとは?

 国土交通省によると、リフォームとリノベーションの2つの定義は以下のようになります。

〈定義〉
・ リフォーム=新築時の目論みに近づく様に復元する(修繕)
・ リノベーション=新築時の目論見とは違う次元に改修する(改修)

 ほとんど同じような意味合いにとれますよね。そのため、リフォームとリノベーションの違いは、受け取り方やメッセージの発信の仕方・解釈が、不動産業界、建築業界の立場や事業者ごとに曖昧な状況です。それでは一般の消費者のみなさまだって理解できません。
 そこで今回は、そうした背景を前提として、当社が考えるリノベーションの定義についてお話したいと思います。

 まず、既存建物を対象としたときに「リフォーム」とは、壁紙を替えたり、お風呂をユニットバスに新設したり、内装を替えたりといった、表層(ハードと呼んでいます)を中心とした修繕工事を行うことを差します。一方「リノベーション」とは、 "これから"どんな風に住みたいのか、暮らしたいのか、そのためにはどんな設備や間取りが必要なのか、といったそこに住む人のイフスタイル(ソフトと呼んでいます)を創造し、それを実現するために必要なハードを提供することを差しています。

〈リビタの考えるリフォームとリノベーションの違い〉

 どちらも性能がアップするのなら、どっちだっていいじゃないかと思われるかもしれません。実際、リフォームもリノベーションも、その技術やレベルは近しいものはあります。
 しかし性能を向上させる目的が違うのです。下記の写真で比較してみましょう。

◆リフォーム例(当社事例)

リフォーム前 リフォーム後

 リフォームとは、壁紙を替えたり、設備を新しいものに入れ替えたりなどの表層を替えること。 上記の写真の場合、ガスからIHクッキングヒーターに切り替えるという設備導入はしましたが、水周りの位置を変えず、表面の面材を交換することにより低コストで現状回復が行えました。

◆リノベーション例(当社事例)

リノベーション前 リノベーション中(スケルトン) リノベーション後

 お客さま自身が、自分のライフスタイルや価値観をもとに、住空間を見直す。それがリノベーション。上記の写真の場合、もともと和室だった間取りを、いったんスケルトンにし、(この場合は和室以外も全てスケルトンにした)中2階を設計。ステップをあがったスペースは井草の畳張りにし、ロフトな和室という住空間をデザインしました。

 このように、リノベーションには、誰がどんな目的で何を実現したいのかという“スタイル”があります。すなわち、リフォーム=『家の話(ハード)』なのか、リノベーション=『生き方の話(ソフト)』なのか、と言い換えることができるでしょう。今この一瞬をキレイに繕うということではなく、ずっと永く安心して使い続けるための新たな投資。リノベーションはそこに住む人の"くらし、生活"を"リノベーションする"ものであると、考えています。

2.新築と中古とリノベーションの比較

 さて、リノベーションの概念をご理解いただけたところで、今度は新築や中古と比較しどういった特性があるのかをみてみましょう。下記の表では、新築、中古、リノベーション物件の基本的な違いがわかる項目をあげてみました。(リノベーションはリノベーション済物件を前提としています)

新築 中古 リノベーション
立地・エリア
希望するエリアで供給されるかどうかはタイミング次第。都心や駅近では供給数は減少傾向。 住みたいエリアで見つけることが可能。さらに間取りや広さなどの住まいの条件に合わせて選択肢が豊富。 リノベーション専門会社が供給している物件は中古に比べて少ないが、投資目的としても活用できるよう好立地の場合が多い。
価格
建築資材や燃油高の影響を受け上昇傾向。また、入札により、土地を取得している場合、業者間競争により高めの分譲価格になることが多い。仲介手数料は不要。 立地や築年数、広さなどにより価格帯は幅広い。仲介手数料が必要。自分でリフォームする場合は、別途リフォームローンが必要。 既存の建物を利用するため、開発費がかからない分、新築より安くなる。リノベ済なので通常のローンでOK。(リフォームローンは不要)仲介手数料が必要。
自由度
完成物件の場合なし。同じ間取り、既製品、指定素材。あらかじめ用意されたカラーや素材を変更できる場合もある。 引渡し時の状態。自分でリフォームする場合、事前に管理状況や制限を確認しておく必要がある。マンションの規定にそってリフォーム可能。 リノベーション済の場合は売主設計の間取り、設備が完備。独創性はあるが気に入らなければ自己負担でリフォームとなる。
入居までの期間 ×
完成していなければ、竣工するまで工事の進捗次第。 売主の都合により、引渡時期は異なる。リフォームする場合はその工事完了後となる。 即入居可。
保証
瑕疵担保10年 個人売主:3ヶ月
宅建業者売主:2年
売主により異なるため、アフターサービスの基準が購入の決め手に。
現物確認
完成済物件以外は不可。モデルルーム見学のみ 現物確認可能 現物確認可能
購入時の市況の影響 ×
大いに受ける あまり受けない
(好立地を除く)
あまり受けない
(好立地を除く)

3.結論。だから市況に左右されない、リノベーションという選択。

 比較表をご覧いただいたときに、今、もっとも注目すべき点は「価格」と「市況」です。住宅購入を検討されている皆さんならご存知のとおり、現在の新築マーケットは、建設中止や差し押さえ、売れ残り、最悪の場合、事業者の倒産という厳しい状況にあります。「突然死」とまで比喩される不動産デベロッパーの波錠や業界の経営不振は、金融の融資停滞だけでなく、原油高騰、建築資材の高騰が大きく関わっているのです。0(ゼロ)から建築・開発費がかかる新築マンションデベロッパーにとって、資材高騰の負担を埋めるのは、ご購入いただく消費者の販売価格しかありません。これではいつが買い時なのか、どの価格が妥当なのか、正しい不動産価値の基準がわからなくなってしまいます。

 一方、上の図の天秤のように、リノベーションが市況にほとんど左右されないといえるのはなぜでしょうか?新規の開発事業費は数億円単位で用意する必要がありますが、リノベーションは既存建物を活用するため、杭打ちやコンクリート打設などの大規模工事がなく、初期費用としての開発事業費がそれほどかからない。だから、左右されないのです。また、既存建物の数(流通)に関しては、むしろどんどん増え続けており、リノベーション開発事業が発展しなければならない裏づけでもありますが、こうした社会的構造からみても、新築から中古へシフトしていくことは課題でもあり、必然でもあるとおわかりいただけると思います。

 今は、住宅を買うには最悪の時期なのでしょうか?新築市場だけをみて判断していませんか?多くの情報が一瞬で検索、収集、比較できるほど淘汰された情報社会の中で、唯一、置き去りにされているのが不動産購入の価値観かもしれません。市況に左右されない選択肢。それは、新しいか旧いかではなく、実質本位のモノ選びができるリノベーションだといえるでしょう。

土山 広志(つちやま ひろし)
株式会社リビタ クリエイティブオフィス マネージャー兼 PR&コミュニケーションデザイン室 マネージャー。大学卒業後、大手デベロッパーでマンションや商業施設の企画・開発を多数経験。2008年1月よりリビタへ入社。様々な分野のマーケティングに精通し、リノベーションを通してこれからの住まいのあり方を提唱している。

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