内覧会では、複数のご家族で住まわれる方はご家族一緒に各お部屋内をまわって点検されていることが多いように見受けます。
ところが、キッチンは意外とお一人だけでチェックされていることが多いかもしれません。
というのも、洋室やトイレ、洗面所などは家族全員が使うことを考えて皆さん代わる代わる見に行かれるのに対し、キッチンについてはお料理を担当されるご家族にお任せされていることが多いようなのです。
使う方が限定される場所はチェックの目も届きにくくなりがちですから、ご紹介するチェック項目を参考に、なさってみてください。
まずはとっても基本的なところから。
間取り図に記載されたコンセントがきちんと取り付けられているかどうかの確認です。
間取り図に記載されたコンセントが設置されているかどうかの確認は、キッチンだけに限定した話ではありませんが、意外と忘れられていることもあるので、やはりきちんと確認しておきたいところ。
実際に冷蔵庫置場のコンセントの施工が忘れられていた事例もあります。
(間取り図では赤丸の部分に冷蔵庫用のコンセントが記載されていたが無かった)
ちなみに、コンセントの種類には1口(プラグを差すところが1つだけ)、2口、3口のものもあれば、アース付きのコンセントもあります。凡例を見て、間取り図に記載されたコンセントが付けられているかも確認しましょう。
特に、冷蔵庫や電子レンジの使用が想定されるコンセントについては電気配線に関する規定によりアース付きにすることになっていますので、しっかり確認しておきたいところです。
次に、シンク周りを2点チェックしてみましょう。
一つ目は、水栓。
こちらもキッチンに関わらず全ての水周りで通水をお勧めしていますが、最近は水栓の先端で普通の水流からシャワーに切り替えができる水栓を採用しているマンションが増えていますので、こういった場合は、通常の水流で水を流すだけでなく、シャワーにも切り替えて水を流してみることをお勧めします。
こちらの写真はシャワー水栓の指摘例で、水栓先端についた散水板(水がシャワー状に出てくる部分)に少しゴミが付着していて、シャワー水流の一部が他の方向に出てきていました。
こういう場合、余計なところに水滴が飛び跳ねてしまうこともありますので、散水板内部を清掃してもらってください。
二つ目はシンク(流し)です。
内側の仕上がりに気になる傷が無いかなどの見た目の点検もしていただくのですが、今回チェックするのはシンクの裏側です。
シンク下の収納を開けて、シンクの裏側を覗き込んでみます。
シンクの裏側です。
矢印が差しているグレーの素材は「防露材」と呼ばれています。シンク内に温度が低い水が流れることで、シンク裏側が結露してしまうことが考えられるため、断熱材として貼られた薄いスポンジのようなシートです。
防露材が全く取り付けられていなかったという例はあまり聞きませんが、シンク下には給排水管があるため、配管接続作業時に防露材を破ってしまい、一部完全に剥がれてしまっていたという例は多数あるのです。
結露を防ぐために取り付けられているものですから、剥がれている箇所が大きいと、その部分に水滴がついてしまう可能性は否定できませんので、新しい防露材に取り替えていただいたほうがいいでしょう。
裏側を覗き込んで、シンク素地がしっかり見えてしまうような防露材の大きな破れが無いかどうかチェックです。
今回ご紹介した項目はどれも、その場ですぐ見られて、道具が無くても出来るチェック項目ですから、是非、確認してみてくださいね。
辻 優子(つじ ゆうこ)
大手マンションデベロッパーにて、新築マンションの販売、現場施工管理から各種購入者向けセミナー運営など幅広く携わった後、 (株)さくら事務所参画。働く主婦目線でのきめ細やかなアドバイスにも定評がある、女性コンサルタント。
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