ストック数570万戸時代を迎え「仮の住まい」から「永住」へ。変わるマンション居住の意識
「マンション」という居住形態が日本で本格的に普及し始めたのは昭和30年台からのことで、ざっと半世紀の歴史を刻んだことになります。この間、マンションは、さまざまな変化を遂げてきましたが、そのひとつに居住者の意識の変化が挙げられます。国土交通省が5年おきに行っているマンション総合調査によると、マンションへの永住意識は近年になるにしたがって高まる傾向にあり、昭和55年度調査で21.7%に過ぎなかった永住意識が、平成20年度調査では実に49.9%と約半数に達するまでに上昇しています。
いまやマンションストック数は約570万戸にものぼり、マンションは都市部の居住形態として完全に定着しました。地価も高度成長期のように右肩あがりにはならないことから、かつての「仮の住まい」から「永住へ」と意識が変わったのも当然といえるでしょう。永住志向となれば建物の維持・管理、住み心地のよさなどに、より高い関心がいくのも当然といえます。さらに、ほぼ半世紀の歴史を経て、建築後20年、30年を数えるマンションも多くなってきており、建物の老朽化や陳腐化によって資産価値を低下させないための管理が問われるようになってきています。
また同じく国土交通省の総合調査によれば「基幹事務を含めて管理事務のすべてをマンション管理業者に委託」している管理組合が74.9%と圧倒的多数を占めています。また、管理状況の満足度では「非常に満足」と「やや満足」を合わせて61.1%が満足と答え、その理由は「マンション管理業者が良いので」が55.4%で一位となっています。
専門的知識が必要で手間がかかるマンション管理は管理会社抜きでは考えにくく、委託する管理会社の選択も重要となります。特に中古マンションの購入にあたっては、現在の管理状況はもちろん、長期修繕計画の有無や内容などを調べ、信頼できる管理会社に委託しているかどうか確認しておく必要があります。これは、購入後の資産価値にかかわる重要な事項です。
マンション管理には法律知識から建築・設備、会計まで幅広い専門知識が求められる
マンションの管理には「民法」をはじめ、「建物の区分所有に関する法律」「マンション管理の適正化の推進に関する法律」、さらに建築基準法など関連法令等々法律知識のほか、建物の構造や設備、そのメンテナンス方法など幅広い専門知識が必要です。また管理費・修繕積立金などの会計に関する知識や能力も求められます。これに、一般のマンション居住者が自力で取り組むのは、とうてい無理といえます。そこで、専門家にまかせるのが賢明というもので、実情も管理会社に委託するケースが多いわけです。また、国の施策としてもマンション管理に関わる「マンション管理士」を国家資格として定め、専門家の養成を進めています。
管理会社に委託することは、専門知識や管理のノウハウを「買う」ということですが、メリットはそれだけではありません。居住者にとって第三者である管理会社が客観的な立場で介在することで、住人間の利害関係の調整にも役立ちます。
続きを読む→
|