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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.53 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

コーポラティブハウスとコミュニティ(5) コミュニティ再生

(株)アーキネット代表 織山 和久

 コーポラティブハウスには、コミュニティを育む力があります。共同で住宅を建てるというプロセスを一緒に経験して気心も分かり、小規模であれば関心・利害を合わせて管理もできます。中庭・屋上・前庭などで日常的にコミュニケーションをとる機会も多く、外観はそうしたまとまり感を与えてくれます。
 よくよく考えると、参加される方々のコミュニティ意識は素晴らしいものです。はじめは見ず知らずの間柄、世帯構成や職業・趣味もそれぞれ、といったメンバーです。それがたまたま同じ場所に暮らすということで一体になったものです。そして、もっともプライベートな住まいという領域で、しかも何千万円という個人としては最大の投資なのですが、個々の関心・利害を超えてお互いに対等な立場で建設的に話し合います。期間としても、一年半をかけて建設計画を共同で進め、その後もずっと一緒に暮らすという営みなのですから。

打ち合わせ風景 時間の都合をつけてみんなで集まり、お互い対等な立場で建設的に議論を進める

 いままで弊社でも80棟以上、こうしたプロジェクトを見守ってきましたが、政党や会社などにしばしば観察されるような分裂騒動や権威主義・事なかれ主義に陥ることはありませんでした。館名や植栽、外壁の色や施工会社の選定、近隣住民への姿勢など様々な議案が持ち上がりますが、みなさんで状況を冷静に理解された上で、疑問や異論もしっかり提起され、それらからも意味合いを引き出しながら皆が納得する解決策を工夫していく、という議論がごく自然に行われます。暮らしはじめてからも、お互いの程よい距離感を保ちながら、バランスのとれた関係を長く続けられます。こうした社会性の高さにはいつものことながら感銘を受けます。
 しみじみと思うのですが、これからの都市のコミュニティの基本単位は、こうしたコーポラティブハウスのメンバーシップのようになるのではないでしょうか。対照的なのは、全国で約30万団体という自治会です*1。役員の大半は高齢者で、報酬や表彰を目当てに在職期間が長期化し、ボス的に運営されます。若手が立候補しても届出を握りつぶす例もあります。幹部は、有償の行政連絡員として広報物等の配布業務を請け負い、また会長は自ら保守系議員の後援会を支えて、行政への影響力を誇ります。でも陳情で予算をとってくる姿勢で、自主自立ではありません。他の一般のメンバーは、無償のボランティアですし、政治的には中立ですから、気分的にもやってられません。主体は商工業や自営業など地元の地主層ですから、再開発推進派として住環境重視の一般住民と対立・分裂もします*2。身内の工事は条例違反でも黙認しますが、よそ者には厳しく建築工事やゴミ置き場設置の嫌がらせし、自治会に加入させないとも主張します。自治会は、本当に地域コミュニティの主体なのでしょうか。

現場見学 自分たちの建物なので、出来栄えは自分たちでも確認する

 コーポラティブハウスのメンバーは、自分たちの意思と責任・負担で自分たちが居住する集合住宅を建設しています。集合住宅でもできるなら、こうした人びとの力があれば、いわゆる公共施設の計画・建設・運営も、コーポラティブハウスのやり方で出来るのではないでしょうか? 小学校なども、政府が学制を強制する前は、地元の有志がお金を出し合って設立したものでした。村の寄合所もそうです。公園も、ドイツ等では半径2kmの土地所有者が費用を負担して造られます。自らが計画・運営し、他人の財布をアテにしないのですから、無駄(利権の元)もなく大事に利用されます。本来、自治体とは、そうしたコミュニティの重なりだったはずですし、21世紀、コーポラティブハウスを基本形にして自治体が本来の姿を取り戻す時代なのかもしれません。ちなみに東北の復興で官主導の集合住宅が計画されていますが、これも自主自立のコミュニティを尊重するというなら、各世帯が住宅復興資金を受け取り、自分たちの意思と負担でコーポラティブハウスを建設するやり方にするのが筋だと思います、無駄(復興利権の元)もなく大事に利用されるように。

*1 伊藤修一郎「自治会・町内会と住民自治」2007
*2 森裕亮「わが国における自治体行政と地域住民組織(町内会)の現状」2002
筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「東京いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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