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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.17 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「お風呂で寛ぐために」

(株)アーキネット代表 織山 和久

 お風呂でゆっくりと寛ぐと、心身にどんな変化があるのでしょうか?

 温泉浴の24時間後に血中のホルモンレベルを測定*2 すると、アドレナリンレベルは低下し、ドーパミンはレベルアップする様子が顕著に現れています。アドレナリンは、緊張、興奮、攻撃・逃避といったストレス反応で中心的な役割を果たし、一方、ドーパミンは快感や意欲をもたらす役割を果たします。
若い年代では「気持ちいい」、老年世代では「イライラがなくなる」というように、年代によって入浴の効果が異なってくるのも興味深いところです。

 また入浴実験*2 によると、湯船に入ってから、だんだんと副交感神経が優位になり、入浴後までリラックスできていることが分かります。人間の自律神経には、交感神経と副交感神経がありますが、ストレスや興奮で交感神経が優位に、逆に副交感神経は体を休ませて回復させる働きがあります。
 ストレスが蓄積されると、ナチュラル・キラー細胞(※説明別記)も活性が落ちて、ウィルスやがん細胞などを排除する力も損なうと言われていますから、お風呂で寛ぐのは大事なことが分かります。
 このような入浴の効果を生かすには、住まいづくりにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
 まずひとつめのポイント
 「ぬるめのお湯にできるだけ長く入る環境を作る」、すなわち「換気」です。

 よく知られているように、38〜40℃のぬるめのお湯につかると、交感神経の働きが抑えられて副交感神経が優位になり、心も体もリラックスします。40℃以上の熱いお湯では、交感神経が働いて末梢の血管が収縮してかえって血行も悪くなってしまいます。  けれどもぬるめのお湯でも、ユニットバスのように熱気のこもる浴室では長くは入れません。風呂場の換気でも必要なのですが、入浴時にほどよく外気が頬をなでるような環境であれば、長く入ることが出来ます。露天風呂が良い例です。特に夏場の入浴中に「気持ちよい」と感じる換気量は、100〜140m3/hにもなると報告されています*3。入浴中の通風は大事なポイントです。
 ふたつめのポイントは、浴室の位置関係です。上記の「交感神経と副交感神経の割合の変化」のグラフで入浴後しばらく交感神経が優位になることに気がつきます。これは入浴実験で、いすに座った安静状態から、立ち上がって浴槽の浴室まで歩いたためと説明されます。つまりお風呂場の位置づけが良くないと、入浴の前後に入浴の効果に匹敵するほどのストレスがかかることが伺えます。このように考えると、お風呂場と寝室がひと続きのプランのように、安息の場所と入浴の場所との移動にストレスのない間取りが重要となってきます。

 最後のポイントは、広がり感です。入浴による脳波の変化を測定したところ*4、家族風呂よりも大浴場の方がα波に表されるリラックスの度合いは大きくなっています。広々とした洗い場、足を伸ばせる浴槽といったことが効いているのでしょう。けれども限られた住まいの床面積のなかで、大きな浴室をつくるのは難しいところです。実際のバスタイムは、夏は15分位、冬でも20〜30分位*5 ですから、その限られた時間のためだけに広々とした空間をとるのはなかなか難しいところです。こうした課題を解決するには、右写真のように、浴室と隣接の居室との間を仕切るのをガラスにするプランがしばしば採用されます。入浴時にはガラスの向こうまで広がりを感じ、居室にいるときは浴室の広がりも感じながら採光や換気も得られる、という一石二鳥の考え方です。安息の場所と入浴の場所の移動にストレスがないのも特長です。
 このように入浴の効果を生かすためにも、
(1)浴室の通風
(2)安息の場とのつなぎ
(3)広がり感の演出
を工夫したいものです。
密閉されて狭いユニットバスでは失われるものが大きいのではないでしょうか。

*1 阿岸祐幸「入浴効果の脳波による測定」1996
*2 山口宣夫・内川・松野栄雄「温浴と免疫」体育の科学、2006久美子正岡さち・飯塚智子「世代間コミュニケーションとしての家族の団らんに関する研究」 2009
*3 田中俊彦・村上周三・吉野博「浴室の必要換気量に関する実物実験」1982
*4 阿岸祐幸「入浴効果の脳波による測定」1996
*5 「バスタイムアンケート」DIMSDRIVE、2006
*6 大田さち・梁瀬度子「キッチンとのかかわりからみた団らん空間のあり方に関する調査研究」1990

※リンパ球の一種で、自然免疫の中心的な役割を果たし、ウイルスに感染した細胞やガン細胞に結合して殺傷する役割を持っています。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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