新築マンションの内覧会立会いでは、給排水設備に異常がないかをチェックするために、立会い(チェック)中にお水やお湯を出したりします(通水試験)。
とあるオール電化マンションでのこと。
施工会社さんにお水やお湯を流してもいいか確認した後に、お風呂の浴槽に栓をして、自動湯張りを運転させました。浴槽にお湯が溜まるまでの間に、玄関まわりをチェックしに行こうと共用廊下に出てみました。
共用廊下には、オール電化ならではの「貯湯タンク」が置かれています。
ん!?
よーく見ると、貯湯タンクの足元から、廊下床面に妙な水溜りが少し出来てきました。
タンクの点検カバーを開けてみると…
あ!漏水!
お風呂の自動お湯張りを運転させたことで、水(または湯)が漏れたようです。
すぐに部屋の中にいる施工会社の方に指摘をお伝えしたところ、施工会社の方が設備担当者に連絡し、急遽駆けつけました。
見た目にはどこから水が漏れているのかがわからないため、その場で点検開始。
点検の結果、タンクと給湯管の接続がうまくできておらず、その部位はすぐに修理できないので、再内覧会までに直していただくことになりました。
この物件の場合、共用廊下は雨がかかることが想定された施工になっており、床面が水で濡れることに問題はありません。しかし、このままお湯が漏れ続ければ、居住者には余分な水道代・電気代がかかり、資源の無駄遣いにもなります。
一度浴槽の自動湯張り運転を行なえば見つかったはずですが、内覧会のときに初めて発覚したということは…事前の売主・施工会社の竣工検査ではお湯張り試験を行なっていなかったのでしょう。
この不具合については、万が一入居後に見つかっても、早期に見つけられれば生活上の大きな問題は起きなかったかもしれません。
でも、それはたまたま漏水していた個所が共用廊下の部分だったから。
もしこれがお部屋の中のどこかで不具合があり、気付かないまま毎日のようにお湯を使い続けていたら…これは大きな被害につながることだって考えられます。
人の手作りであるため「ヒューマンエラー」という言葉はつきまといますが、それでも事前に点検しておけば早期に発見できる不具合がたくさんあります。
入居前には必ず、それぞれの水周りで通水試験をしておきましょう!
辻 優子(つじ ゆうこ)
大手マンションデベロッパーにて、新築マンションの販売、現場施工管理から各種購入者向けセミナー運営など幅広く携わった後、 (株)さくら事務所参画。働く主婦目線でのきめ細やかなアドバイスにも定評がある、女性コンサルタント。
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