- 2011年6月14日 23:04
- マンション選びの新基準
2月に記事を書いたまま、続き記事を置き去りにしてしまっておりました。 まずは前回記事をご覧ください。→『中古マンションのスケルトンリフォーム1』
では、続きを。
中古マンションをフルスケルトンリフォームされる方は、ぜひ「排水たて管」の遮音対策を確認し、必要に応じて対策することをお勧めしてます。
内装壁を解体・復旧するタイミングでしか、手を付けられないからです。
具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
1.排水たて管の周りにグラスウールを巻く
2.その周りをさらに遮音シートで巻く
3.排水たて管の周りを石膏ボードを二重にして囲む(PSだけボードを二重にして貼る)
これらの遮音対策を施しても、上階からの排水流水音は聞こえてくることがありますが、これはもう、共同住宅ならではの、致し方ない出来事。
でも、何も対策しないときの流水音は結構響きますから、やっぱりないよりは、やったほうがマシになるとお考えください。
初めて聞く言葉もあって「??」かもしれませんので、ここからは解説です。
1ですが、「グラスウール」(略してGW)とはガラス繊維のことで、建築では主に「吸音材」「保温材」として使われています。ここでは、主に吸音目的ですね。
色は黄色いのですが、ガラス繊維が飛び散りにくいように、通常は周りにアルミシートを覆います。
この手法は、意外と昔に建てられたマンションでも使われていて、写真の物件は築25年くらい(昭和60年築くらい)でしたが、グラスウールが巻かれていました。(写真中央左の2本の配管)
私が現場を見ている印象では、築25年くらいの物件だとGWは巻かれていることも多く、それ以上前の物件だと、配管が剥き出し=対策なしなことが多い印象。
(築25年未満でも、無いことがありますので、事前にリフォーム会社に確認してもらってくださいね!)
2ですが、これは、1のGWだけでは吸音しきれなかった音を「跳ね返す」ようなイメージで、GWの周りに、さらに金属(鉛)練りこんだ「遮音シート」なる質量が重いシートを巻きつけます。
この1・2が、排水たて管自体に施す対策。
1だけだと「やらないよりはやったほうがいい」、2までやると「及第点」とお考えください。
3についてですが、この2つは、排水たて管を覆う(仕切る)スペースである「パイプシャフト(PS)」の間仕切り壁に施す対策です。
文字通りPSの石膏ボードを2枚にすることで、1・2の対策だけでは抑えきれない音を室内に響きにくくします。
PSが寝室に面しない場合は、「別に音が聞こえてもいいじゃない」ということで、PS壁の遮音対策は行わないこともあります。(PSの位置は間取り図に書いてあります)
※この15年~10年以内に建てられた分譲マンションだと、多くの場合1・2は施されていると思います。
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『解説書かれても、やっぱりややこしー!』
・・・と思いますよね。なかなか、実物を見てみないと、なんだかわかりにくいと思います。
ですので、リフォーム会社に、このように指定してみるといいと思います。
【今の新築マンションでは当たり前なレベルで指定】
1・2を指定
『排水たて管に、グラスウールと遮音シートを巻いてください』
【今の新築マンションでもちょっと配慮が効いてるレベルで指定】
1・2に加えて3を指定
『洋室とリビングに面するPSの壁は、石膏ボードを2重にしてください』
場合によってはリフォーム業者さんの反応が「?よくわかんないんですけど?」なことがあるかもしれません。
その場合は、その反応も、ひとつの参考にしてみてください。
マンション設計に関する知識経験が、あまり豊富ではない方とお見受けします。
勉強して設計に盛り込んでさえいただければ、それでもいいんですけどね。
どの対策も、材料・手間がかかりますから、多少のコストアップにはなってしまいます。(何十万も取られるってことはないでしょうけど)
ただ、これらの対策が施されていないような築年数が古い物件は、物件価格もそれなりに抑えられると思いますので、その分少しだけリフォーム費用を上げて、性能を高めて住むというのはテクニックのひとつ。
ちなみに、私がいるさくら事務所にも、このようなリフォームに関する仕様のアドバイスや工事中のチェックをお受けしています。
リフォーム会社とのやり取りの「セカンドオピニオン」「アドバイザー」をご希望の場合は、お問い合わせください。
さくら事務所の中古マンションインスペクション
さくら事務所のマンションリフォームチェック
さくら事務所 辻 優子(一級建築士・JSHI公認ホームインスペクター)
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