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マンションの終末期を見据えた購入ポイント2

建て替えできないなら、管理組合解散、売却という手が

建て替えできないマンションの次なる打ち手とは。想定できるのは、管理組合を解散して、売却するという方法です。

老朽化に伴う修繕費の増加と空き住戸率の増加を考えれば、将来的にマンションの管理運営に息詰まるマンションが増えていくことは必至でしょう。その ため、空き家が増える一歩手前の適時タイミングで所有者の合意形成を図り、区分所有関係の解消・管理組合の解散により資産(土地)を売却して、その収益を もとに各区分所有者が次の居住先を選択して住み替えることが有効と考えられます。

その場合、立地条件が良く土地価格が高い物件や、賃貸化が進み需要の多い物件の方が、より有効性が高くなると思われます。また、土地の売却ですから、土地の持ち分比率が高くなる広めの敷地にゆったり建てられた中・低層のマンションが有利といえるでしょう。

次に、管理組合解散・売却という道が開けるマンションの条件をお教えします。

敷地にゆとりがある総戸数100以下のマンションが狙い目

都心の好立地に建つ、敷地にゆとりのある総戸数100戸以下のマンションであれば、需要も多く、所有権者の合議も比較的取りつけ安いと考えられます。というのは、管理組合を解散して売却をするのは所有権者全員の合意が必要ということが民法で規定されているからです。

1975年以前に建てられた既存不適格マンションの中には、解散・売却に向く好立地の物件も探せばあるものと思われます。半面、昭和40年以前に建 てられた郊外の中・低層マンションの中には、敷地にゆとりのある物件も多いのですが、需要が少なく売却自体が難しいことが想定されます。

1990年代後半から増加している、超高層のタワーマンションなど土地の広さの割に多くの所有者が存在する物件は、1戸当たりの土地の持ち分が少な く、解散・売却しても、売却益の配分が少なくなり、あまりメリットはないでしょう。それ以前に全員の合意形成が不可能と思われます。

管理組合解散・売却という道が開けるマンションの条件

以上のことから、建て替えできないけれど、管理組合解散・売却という道が開けるマンションの条件は、

・総戸数が100戸前後までの全員賛成の合意形成しやすい、こじんまりとした規模である
・賃貸比率が高いなど、需要が多く事業性が高いので、企業が一括して購入できる立地
・敷地にゆとりがあり、持ち分比率による土地の権利ができるだけ大きいこと
こうした物件は港区などの都心の好立地に建てられた築古マンションの中に見られる

あくまでも全員の賛成あってはじめて、解散・売却の道が開けるわけですから、この対策も成功の確率はそんなに高いとは思えません。そこで、もっとも現実的で有効な対策について考えてみましょう。

マンションの延命対策についてお話しします。

マンションの延命こそ現実的な対策

現在、築40年超の建て替えできないマンションの顛末は、スラム化とされており、決して明るい終末とはいえませんが、はたして本当にそうでしょうか?

立地の良い築40年超のマンションの場合は、除々に賃貸比率が高まっていきます。賃貸のなかでも居住用というより事務所用としての使用目的が増えて いきます。事務所使用であれば、最悪、給排水管が故障して台所や浴室、トイレが使用できなくても、最低限電気が通っていれば用は足せます。ここにいたるま でには、20年~30年の歳月がかかるでしょう。

一方で、高齢の所有者が亡くなり、相続しても住めない、貸しても賃料が安く、管理費・修繕積立金、固定資産税の負担が大変だからという理由で、相続 放棄が起こり、少しずつ空き住戸が増えていきます。その段階になりますと管理費、修繕積立金の滞納が増えていきます。マンションの管理、修繕に息詰まり、 居住性が低下し、空き住戸が増え、スラム化がはじまります。

とはいっても、急激にスラム化が起こるわけではなく、こちらも10年~20年の長い時間をかけてジワジワと進んでいくものと思われます。その間、空き住戸は犯罪の危険性さえ孕むようになり、地域社会を不安に陥れることにも成りかねません。

このように築40年を超えたマンションは、30年~50年(いえ、もっと長いかもしれませんが)という長い時間をかけて建ち枯れていくものと思われ ます。郊外の立地の悪いマンションは、賃貸化の現象を飛ばしていきなり、空き住戸増加によるスラム化が始まる可能性が高く、その分建ち枯れは早いと考えら れます。

建て替えも解散・売却も難しいとしたら、最後に打てる現実的な対策は、こうした立ち枯れのスピードを極力抑える延命策だと考えます。

マンションの一般的寿命ってどのくらいだと思いますか?

マンションの一般的寿命は60年?

延命策をこうじるためには、まずはマンションの寿命がいくつなのかを、知ることが出発点となります。日本でマンションが普及しはじめてから、まだ50年足らず。したがって、マンションの寿命が何年なのかは、実は一般論化はしていません。

大蔵省(現財務省)令で定められた「法定耐用年数」から約60年程度ではと言われてはいますが、この法定耐用年数は減価償却計算のために便宜上定められたもので、時代によっても数値が変わり、実際の寿命とは必ずしも一致しません。

身近なところでいえば、1927年に建てられ、表参道ヒルズとして生まれ変わった同潤会青山アパートの寿命は築76年でした。また、昭和30年代以降に建てられたマンションの建て替えの事例は100件程度で、建て替え時の平均年齢は築36年です。

この2つの間には、倍の寿命の開きがあります。いったいどちらがマンションの寿命としての目安といえいるでしょうか?

次回は、マンションの寿命の目安についてお話しします。

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