- 2010年1月29日 02:01
- マンション選びの新基準
中古マンションの40%は肝心な情報が開示されていない
08年の11月から09年の5月まで、マンション評価ナビでは、約150件の都心中古マンションを調査・評価してきましたが、この間、大きな壁にぶ つかりました。なんと約40%の中古マンションについては、将来価値につながる居住性(共用部分)、維持管理に関する情報が一般の消費者ではほとんど入手 できないということです。
以下に情報が開示されず、結果として入手できない項目を挙げてみます。
居住性(共用部分) | 長く住める性能・構造か | ・耐久性 ・耐震性 ・設備の維持管理のしやすさ (共用・専用配管) |
居住性(住戸部分) | 長く住める性能・構造か | ・階高 ・床、天井の構造 |
維持管理 | 管理・修繕の実施計画と資金の状態 | ・管理費の滞納率 ・修繕積立金の残高状況 ・長期修繕計画と資金計画の有無と内容 |
上記のうち、居住性について詳しく知りたい場合は、マンションの管理事務所で通 常保管されているとされる、図面集を見せてもらい、共用部分や住戸部分の構造をチェックすることになりますが、都区部のマンションのなかには、防犯やプラ イバシーの問題から、図面集を管理会社に保管してもらっているマンションが多く、現地見学の際に、その場でチェックすることはできません。
仲介会社の営業マンに耐震性や耐久性のことを質問しても、せいぜい新・旧いずれの耐震基準適応かぐらいしか、答えてくれません。床・天井の構造につ いてもすぐには分からないことが当たり前、といった状況です。忙しい時間の合間を縫っての見学ですから、別途時間をとって管理会社を訪ね、図面を閲覧する 余裕はほとんどの人にはないでしょう。
また、管理費の滞納率や修繕積立金の残高に関する情報は、仲介会社やマンションの管理人さんに質問しても教えてくれません。これらは、重要事項とい い、仲介会社が管理会社に依頼すると書面で回答が返ってくる情報です。ユーザーが直接管理会社に問い合わせても教えてくれません。しかも書面については有 料のこともあり、仲介会社も確実に購入する見込みのあるユーザーにしか、対応してくれないこともあります。
それでは次に、不確定要素が多い中古マンションのリスクをご説明します。
不確定要素が多い中古マンションに投資するのは危険
複数の中古マンションを比較検討して、よりよいものに絞りこんでいくうえで、決めてとなる性能・構造、維持管理の情報が開示されない、分からないと いうのは、買い手にとっては、大きなリスクとなります。リスクは不確定要素なわけですから、投資のセオリーからすると、買いの判断がつけられないというこ とになります。それでも立地が気に入ったからと決めるのであれば、それはひとつの賭けということになります。一方、情報が開示され、その結果、耐震性、耐久性、維持管理の性能が低く、管理費も滞納率が高く、修繕積立金も不足している、という事実が分かった マンションであれば、不確定要素はありませんので、その質の低さに見合った、安い売却価格が設定され、安かろう、悪かろうで取引は成立するでしょう。
このような視点から、投資判断がつきやすいのは、性能表示を取得している平成12年以降に販売されたマンションといえるでしょう。それ以前に販売さ れたマンションについては、将来価値に直結する項目を、面倒がらずに仲介会社を通してきちんと確認することをお勧めします。すべての項目はわからなくと も、ひとつでも多くの項目が分かれば投資判断の確度が高まります。
ただし、仲介会社をとおして調べるには、1週間程度はかかることがあります。その間に他の買い手に先を越され購入チャンスを逃すことがあるかもしれ ません。しかし、私は投資判断のできる事実が収集できない間に他の人が決めてしまったとしたら、その物件には縁がなかったと思うくらいでちょうど良いので はと考えます。
人生90年時代のあなたを支える、生活の器、大事な資産です。丈夫で長持ちする品質・性能のマンションでなければ、将来価値を前提とした投資は怖くてできないはずです。
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