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マンション選びの新基準--マンション選びは「点」より「面」 第6回

財政基盤からみた市町村の将来性

 

市町村の財政基盤は街の発展に大きく影響

エリアの将来性を見極める上では、市区町村の財政基盤がシッカリしているかどうかも重要な指標になってきます。強固な財政基盤を持つ市区町村ほど各種の住民サービスや助成制度などが充実し、各種の公共施設の建設や再開発などを積極的に推進することができます。それだけエリアの魅力が高まり、人やモノが集まり、地価やマンションなどの不動産価格への評価が高まって、資産価値を維持しやすいということになります。

その行政基盤を計る最も重要な指標として「財政力指数」を挙げることができます。この財政力指数というのは、基準財政収入額を基準財政需要額で割った数値のこと。たとえば、10億円の収入に対して、8億円の需要(支出)なら財政力指数は1.25に、10億円の収入に対して、12億円の需要なら0.83という計算。つまり、数値が大きいほど財政基盤が安定していることを意味します。

ちなみに、この指数が1を超えれば地方交付税交付金が支給されない不交付団体になり、1以下であれば支給される交付団体となります。つまり、財政基盤がシッカリしている各町村であれば、国からの交付金なしに自立した財政を確立できるわけで、財政基盤が弱いと国への依存度が高まり、自主的な取り組みが難しくなってしまいます。参考までに、財政破綻した北海道夕張市の財政力指数は0.24と極めて低い水準に落ち込んでいます。

 

財政力指数、一都三県のトップは武蔵野市

 

一都三県の市区町村のなかで、財政力指数のトップは東京都武蔵野市の1.72で、次いで千葉県浦安市、神奈川県箱根町などが続いています。

県別にみると、埼玉県では戸田市の1.43がトップで、和光市・三芳町の1.21が続いています。ベスト20のうちの埼玉県は3市町にとどまっています。以下、狭山市1.12、朝霞市110、所沢市1.06などが続いていますが、財政力指数が1を超える市町村はさほど多くないのが現実で、さいたま市は0.99とわずかに1を切っています。

千葉県では、浦安市が1.62のトップで、これに成田市の1.46、袖ヶ浦市1.33が続いていますが、ベスト20に入ったのはこの3市のみ。千葉市はさいたま市同様に0.99とギリギリの地方交付税交付団体になっています。

東京都では、武蔵野市の1.72以下、調布市1.32、府中市1.30、三鷹市1.27など7市区がベスト20に入っています。ただ、23区のうちベスト20に入っているのは港区の1.21のみでした。

神奈川県をみると、トップは箱根町の1.62で、ベスト20には、厚木市1.47、中井町1.40などの7市町村が入っています。特徴的なのは、箱根町をはじめとする町や村がランキングの上位に入っている点。これに対して、横浜市は0.95で、川崎市は1.04と比較的低い水準にとどまっています。

 

実質収支比率や公債費比率なども要チェック

 

ただ、この財政力指数だけでは判断を誤る可能性もあります。財政力指数が高くても、実質収支比率が低く、公債費比率が高いと財政硬直化が進行していることになります。実質収支比率は、その市区町村の黒字幅の大きさを示していますし、公債費比率が18%以上になると公債の発行に許可が必要になり、25%以上になると、公債発行が制限されます。たとえば、先の夕張市は実質収支比率が-791.1%と極端な赤字で、公債費比率28.9%と借金返済に四苦八苦の財政に陥っています。

幸い、一都三県では実質収支比率がマイナス=赤字の市区町村はありませんが、財政力指数が上位のなかでも、箱根町は実質収支比率が0.5%収支が極めて厳しい状況にあり、公債費比率16.1%と借金への依存度がかなり高くなっています。

その点、武蔵野市は実質収支比率が7.1%と高い水準で、公債費比率は3.9%とたいへん低く、健全な財政運営が続いています。それに対して、財政力指数2位の浦安市は実質収支比率が3.8%とさほど高い水準とはいえず、公債費比率が9.3%とやや高くなっているのが気になります。同様に財政力指数14位の鎌倉市も、公債費比率が10%を超えています。まだまだ危険水域とはいえませんが、借金体質の改善が必要なのではないでしょうか。

●一都三県の市区町村財政力指数ベスト20

           財政力指数  実質収支比率(%) 公債費比率(%)
1 武蔵野市(東京都) 1.72       7.1          3.9
2 浦安市(千葉県)  1.62       3.8          9.3
2 箱根町(神奈川県) 1.62       0.5          16.1
4 厚木市(神奈川県) 1.47       7.5          9.2
5 成田市(千葉県)  1.46       6.8          8.4
6 戸田市(埼玉県)  1.43       8.5          4.8
7 中井町(神奈川県) 1.40       8.5                   8.8
8 袖ヶ浦市(千葉県) 1.33             3.1                   4.8
9 調布市(東京都)   1.32             4.9                   6.7
10 府中市(東京都)  1.30             6.1                   6.4
11 三鷹市(東京都)  1.27             5.5                   9.8
12 多摩市(東京都)  1.26             4.0                   7.4
13 清川村(神奈川県  1.23             5.2                   0.4
14 鎌倉市(神奈川県  1.22             3.9                  11.7
14 寒川町(神奈川県  1.22             8.1                   9.7
16 港区(東京都)    1.21             8.8                   5.3
16 和光市(埼玉県)  1.21             6.5                   4.6
16 三芳町(埼玉県)  1.21             8.3                   9.7
19 立川市(東京都)  1.20             4.8                   9.5
19 愛川町(神奈川県  1.20             6.3                   6.5

(資料・総務省統計局「統計でみる市区町村のすがた2009」)

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