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将来価値でみる中古マンション3 修繕積立金

修繕積立金は、新築分譲時に予め決められているのが一般的です。金額自体は、そのマンションの管理を担当することになる、管理会社が修繕計画にもとづいて設定するものです

その金額は概ね75円/㎡~85円/㎡が相場のようですが、果たしてこの金額は妥当と言 えるのでしょうか?

5年ごとに50%値上げしないと修繕計画の実施は不可能?

75円/㎡~85円/㎡の積み立金だと、必要な時期に必要な修繕を実施しようとすると、5年ごとに50%程度、値上げしていかなければならないというのが実態のようです。ある管理会社は、新築時の積立金を160円/㎡に設定し、高い!と言われているそうですが、それでも5年ごとに30%値上げしないとまともな修繕はできないと、断言しています。

先日のコラムで妥当な管理費についてご説明しましたが、70㎡の住戸に住むと仮定するとローン返済以外に、以下のように約30,000円の出費を覚悟する必要があるのです。

・管理費月額 280円/㎡×70㎡=19,600円

・修繕積立金 160円/㎡×70㎡=11,200円

将来価値を維持するには、それなりのメンテナンスコストが発生するのです。

将来価値を維持するにはアンチエイジング型修繕計画が必要

ところで、積立金はあくまでも修繕計画の中身で決まります。この中身の質が良くないと、将来価値は維持できません。最近では新築分譲時に、以下のような30年間の長期修繕計画が提示されます。

約5年~10年毎に行う修繕 各種鉄部塗装、鉄骨階段・機械駐車場塗装、排水ポンプ交換、防犯カメラ交換など

約10~15年毎に行う修繕 外壁補修、シーリング・屋上・ルーフバルコニー防水、バルコニー・共用廊下・階段修繕、機械駐車場塗装、給水ポンプユニット交換など

約15~20年毎に行う修繕 給水管(給水器まわり)更新、」給水管(共用竪管)延命

アンテナ交換、インターホン設備交換

約20~30年毎に行う修繕 給水管(共用竪管)更新、照明器具・避雷針設備・消防設備・受水槽・宅配ボックス・機械駐車場設備パレット交換(屋外駐車場)など

30年以降に行う修繕 受水槽交換、機械駐車場設備パレット交換(屋内駐車場)、エレ ベーター交換、排水管更新、受変電設備・配電設備交換、アルミ建具・手摺金物等交換外構廻り舗装等全面改修

ちなみに、このような内容の修繕計画が実施できるかどうかは、大規模修繕直前のマンションの修繕積立残高で分かります。あくまでも一般的な目安ですが、150万円/住戸程度の積み立金の残高がないと、一時金を徴収することになったり、予算が足りずに、必要な修繕が実施できず、将来価値が低下することも予想されます。

ところで、この計画は、国が提示した指針にもとづいた長期修繕計画案の標準タイプで、どのマンションも同じ内容となっています。ひとつとして同じマンションがあるわけではないので、実際にはそれぞれのマンションの特性に応じてカスタマイズすることが大事です。

また従来の修繕計画は、建物が劣化した後に修繕するという発想でつくられています。将来価値の維持のためには、劣化を事前に防止することに重きをおいたアンチエイジング型修繕計画が求められるところです。

くわえて、建物の劣化の状況は、一様ではありませんので、いったん作成した計画は建物の変化に対応して5年ごとに見直さなければ適切な修繕はできないのです。このように初来価値を維持しようとすれば、マンションの管理組合は、計画作成、資金調達、修繕事業の実施など、組織としての能力が求められるのです。

将来価値を向上させるマンションリフォーム

将来価値は維持するだけでなく、向上させることもできるのです。

たとえば、築30年超のマンションのエントランスまわりをリフォームする、最先端のセキュリティシステムを導入するなど、社会の変化に対応することで、新築マンションに劣らぬ価値を創造することも可能です。

こうした価値向上は住民の資産価値についての考えが一致していることや、マンション市場のトレンドや建築技術の進化などの専門知識、資金力などが伴わないと、実現できるものではありません。維持管理のマネジメントをマンション管理士などの専門家に委託するなど、一般の住民では手におえない専門的な領域をプロに任せる管理組合も増えつつあります。

人生90年時代 。30代の方々がマンションを買ったとして、生きている60有余年の間に、数回の住み替えを経験することになるかもしれません。

また、そのマンションを貸したり、売ったりすることで老後の生活資金を捻出する必要が生じることもあるでしょう。

いずれの場合も、マンションの将来価値は高いほうが、有利にことが運ぶはずです。不確定要素の多い長いこれからの人生を考えると、将来価値の高いマンションは、安心・安全ではないでししょうか。

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