「共用部分は入居後に管理組合で変えられます」に注意!
2009.6.21 at 03:06 pm by
新築マンションを購入するときや、内覧会のときに、お客様から共用部分について質問されたことに対して、こう答えているのが気になるときがあります。
『気になるようでしたら、共用部分は入居後に管理組合で変えられますからご安心ください』
むむむ・・・。
本当に、共用部分の変更、できます??
こんなことがありました。
『私が買う部屋が敷地内の駐車場から丸見えになるようなので、何か目隠しになるようなものを取り付けてもらうことはできないんでしょうか』という一般の方のご質問。
さくら事務所の内覧会立会いをご依頼された方です。私が同席していました。
200戸を越える大型物件。
たまたま、その方の部屋の寝室だけが自走式駐車場と近距離で向かい合っていました。他のお部屋はそんなことナシ。
確かに、その方が気にされるのも無理ないと思うほど、駐車場に車を停めに来た方から部屋を容易に見られそうな位置関係。
そのご質問に対する売主の建築担当者の説明はこうでした。
『パンフレットに記載されているものは他のお客様や契約者にすべて告知しているものなので、今からは変えられないんです。でも、共用部分は入居後に管理組合でなら変えられますから、大丈夫ですよ』
さて、皆さん、本当に出来ると思いますか?
答えは「できる」です。
管理組合が決議を取って決定すれば、法律に違反するものでない限りは変更ができるのです。自分達の財産ですから。
でも、物理的にできるのと、現実的にできるのはワケが違います。
管理組合が共用部分の変更を行なう場合、区分所有法という法律で「区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要」と決められています。
(※定数を4分の3から過半数に変更している組合もあります)
しかも、その多数決をとるためには、まず管理組合総会の議案にしてもらう必要があります。
つまり、この方の場合、自分の部屋のためだけにパネルなどをつけてもらうためには
●理事会に相談して、議案にして欲しいと頼む。予算が必要になるので、見積もりを取ったりという作業も必要。
●議案化されたら総会で150世帯以上の方に同意してもらう
という作業が必要になるのです。
こういうステップを踏めば、変更可能。
あんまりにも、売主の建築の方が簡単に「組合で変えられます」と言い続けるものですから、私からこの決議の話をご依頼者に申し上げ、売主さんに引渡し前に再度変更する検討を依頼しました。
結果的には、現地の状況を見て、売主社内でも問題ということになって引き渡しまでに可能な限り植栽で目隠しをしてくれることになったとか。
引渡し後では、物件を所有している間の売主ほどのスピードでは共用部分の変更はできません。
「変えられますよ」の物理的な事実には、現実的なハードルが待ち受けてることもしっかり知っておきましょう。