マンション選択の新基準――マンション選びは「点」より「面」

2009.5.31 at 09:05 am by

第5回

人口が増える街がマンションの資産価値も高くなる?

 

2035年の人口増加率予測のトップは稲城市

 

 マンションの資産価値は、その街の賑わいが持続されるかどうかに大きく影響されます。人口が減少すれば、シャッター街が増えて、街もさびれ、資産価値は低下しますし、反対に人口が増えれば、商業施設や各種利便施設、レジャー施設なども増えて、街がにぎわい、資産価値を維持しやすくなります。わが国全体でみれば、人口の減少傾向が明確になっていますから、そのなかでいかに人口の定着を図り、にぎわいを維持していくかが各自治体の重要なテーマになっています。

 そこで、今回は、どんな街が有望なのか、人口増加率との関係からみてみましょう。

 国立社会保障・人口問題研究所では、定期的に自治体別の人口推計を行っています。最新の『日本の市区町村別将来推計人口』から、2005年を100とする2035年の指数をみると、首都圏一都三県の市区町村のトップは、東京都稲城市の127.1でした。30年間で人口が3割近く増加するという予測です。

 稲城市は、東京都の多摩地区の南部に位置し、多摩市、府中市、調布市などと隣接しています。新宿の東南約25㎞、京王相模原線京王よみうりランド・稲城・若葉台駅は新宿駅から30分~40分ほどの時間距離です。市域には多摩ニュータウンも含まれ、近年大規模物件を中心に、マンションの供給が多いことで知られています。

 このため、2007年1月1日の人口は7万9461人に対して、20081月1日は8万715人で1.6%増、2009年1月1日は8万2173人で1.8%の増加となっています。今後も当分はこうしたペースで人口が増え続け、2020年には9万人台に達し、2035年には9万7000人台まで増加するとみられています。こうした人口増加に対応して、商業施設や各種利便施設、レジャー施設なども増加することが期待されます。こうした要素は、マンションの資産価値にさまざまな形で影響してくるはずです。

 この稲城市の周辺では、調布市、町田市なども人口予測の増加率が高くなっています。

 

都心部では中央区と港区が大幅な人口増

 

 一方,都心部でも人口増加の見込まれる区が少なくありません。人口増加予測ランキングをみると、中央区が121.9で、港区が117.7となっています。2035年までの30年間で2割前後増加すると予測されているのです。

 両区では、この10年ほど超高層マンションが急速に増えています。現在も港区では「パークコート赤坂 ザ タワー」(総戸数518戸)、「パークコート麻布十番 ザ タワー」(同440戸)、「クレストプライムタワー芝」(同483戸)などが販売されていますし、中央区でも「クレストシティレジデンス」(同440戸)などが販売されているほか、夏からは「晴海テラス」(同378戸)の販売も予定されています。こうした大規模マンションが完成して入居が始まれば、1棟当たり人口1000人前後の増加効果があります。人口が増加するのも当然のことでしょう。

 都心部でも商店街などがさびれるケースがみられますが、この両区では麻布十番、月島など元気な商店街が少なくありません。バブル期に人口が急速に減少し、一時は活気が乏しくなったものの、再び人の流れが戻り、にぎわいのある街となっています。

 大規模マンション供給エリアという点からみれば、豊洲、有明など1000戸規模に達する大規模なマンション開発が多い江東区が挙げられます。しかし、江東区の2035年の予測は101.0です。これだけマンションの供給が増えているのに、人口はほとんど増えないとみられているのです。一部エリアで人口が増えても、他方では過疎化の流れが止まらず、江東区内での“南北問題”がささやかれているほどです。区の南は再開発が進んで、人口が増加しているものの、北部の既成市街地ではむしろ減少に歯止めがかからないのです。これでは、江東区全体のイメージアップにはつながらず、マンションの資産価値という点でも疑問符がつきます。

 この市区町村別の人口予測は、国立社会保障・人口問題研究所のホームページで見ることができます。そのなかから、2035年までの人口増加率に関して、一都三県のベスト10を作成してみました。将来の資産価値判断のひとつの参考資料にしてはどうでしょうか。

 

●一都三県の市区町村別人口増加予測ランキング(2005年=100とした2035年の指数)

1 東京都稲城市      127.1

2.千葉県印旛村      122.6

3.東京都中央区      121.9

4.埼玉県伊奈町      119.2

5.東京都港区       117.7

6.東京都府中市      117.7

7.埼玉県和光市      114.6

8.東京都国分寺市     113.4

9.東京都町田市      112.7

10.千葉県浦安市      111.9

 

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