50戸程度のマンションに、コンシェルジェサービスがないのは当たり前

2007.9.7 at 10:09 am by

当サイトが9月2日に公開した評価マンション35件のうち、生活サービスが充実しているという評価で4点以上を獲得したのは、一部高額ハイグレードマンションを除いては200戸以上の大規模マンションでした。

代表的な生活サービスとしては、専任のスタッフを置いてのコンシェルジェサービス、があげられます。サービスの中味はクリーニング・宅配便・タクシー・レンタカーの手配、ケイタリングや買い物代行サービスの手配など、至れり尽くせりの内容となっています。

こうしたサービスに必要なスタッフの数とそれに伴う経費は200戸以上でも50戸程度でも大きな差は生じません。一方こうしたサービスは管理費でまかなわれます。例えば管理費が、全戸1万円ずつだと仮定しましょう。200戸規模のマンションの1ヶ月の管理費総額は200万円、かたや50戸規模では50万円しかありません。
当然ながら、戸数の多いマンションは管理費総額が大きいので、いろいろなサービスを提供できます。逆に、戸数の少ないマンションが同様のサービスを提供するためには、より多くの管理費を入居者に支払ってもらって、管理費総額を増やす必要があるのです。

東京都区部のマンションの管理費の相場は1m2あたり208円です。

専有面積60m2の住戸を購入すれば、毎月の管理費は208円×60m2≒1万2000円となります。もし、50戸規模で充実した生活サービスを受けるとなると、相場以上の管理費を払わなくてはいけません。
物件価格は同じ(=月づきのローン返済は同じ)でも、管理費が高ければ、月づきの住居費の合計額はよりアップします。そうなると、「毎月の家計負担が大きくなってしまう!」という理由で、管理費の高いマンションは買い手から敬遠される可能性が生じるでしょう。
ゆえに事業者サイドとしては、小規模マンションに多様なサービスを導入することに消極的にならざるを得ないのです。

生活サービスが充実しているマンションかどうかは、規模の大きなマンションと小さいマンションを同じ土俵で比較するには無理があり、同程度の規模同士で比較するのが妥当ということになります。

最後に、このコンシェルジェサービス、居住者があまり利用しないものは中止したり、修繕積立金の額が上昇する築5年目、10年目あたりで、月々の維持管理費の負担を軽くするためにサービス自体を廃止するケースが、過去に散見されたことを、一言付け加えておきたいと思います。

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