マンションならではのエコロジー

2008.7.4 at 11:07 am by

昨今、全国的にエコロジーに注目が集まっています。

マンションも例外でなく、エコを考えたものも多くなってきました。

CO排出量が少ない「エコキュート」や「エコジョーズ」といった、高効率給湯機を採用したマンションも多くなっています。その他わずかですが、屋上緑化や雨水利用のものもあり、当ナビでもそれらを評価の一つとしてポイントをつけています。

しかしエコへのこだわりは、今から10年以上前に作られた世田谷区の「環境共生住宅」と名づけられた集合住宅には遠くおよびません。この集合住宅は5階建て、全70戸の区営の賃貸住宅です。当時、専門家から大きな注目を浴びました。モデル事業ですので、そのまま民間のマンションと比べることは出来ませんが、エコにこだわった様ざまな工夫がされています。

屋上緑化はもちろん、西日を遮る壁面緑化(外壁の外側にネット状の枠を作り、そこにツタ系の植物をはわせる)も採り入れられています。その他、太陽熱利用で給湯や床暖房を行う太陽光発電、生ごみを堆肥に変えるコンポスト雨水タンクを各戸のバルコニーに設置し植木やバルコニーの掃除に利用、風力発電の風車まであります。しかし残念ながら、現在はこれらの全てが上手く機能しているわけではありません。風車はただのオブジェと化し、太陽光発電も現在は一部が機能しているだけだそうで、故障時の費用に問題があったようです。なにしろ10年前の設備ですから。

現在ならばもっと性能の良いものも開発されているはずです。

太陽エネルギーを利用するソーラーシステムのうち、集熱器のような設備装置を利用するものを総称して「アクティブソーラー」と呼びます。それに対して「パッシブソーラー」という仕組みもあります。パッシブの手法とは、風の通り道が出来るような建物の配置や小さな中庭のような空間を作り、そこからの通風や採光を確保するなど、設備装置に拠らない仕組みです。

この「環境共生住宅」はもちろん、パッシブな手法も採り入れられています。その結果、夏は風通しが良く、冬も日当たりが良く、あまり空調機に頼らない生活が可能となっています。一番健全なエコ生活ではないでしょうか。

一般のマンションでは、ここまでエコにこだわることはなかなか出来ないと思います。でも、豪華なラウンジやホテルのようなロビーを作るだけでなく、何か一つ、エコにこだわった設備をつけてみたら、住民の意識も変わるのではないでしょうか。戸建て住宅ではなかなか採り入れにくく、マンションなら可能という設備もあると思います。そうなれば、マンションに住む意義が一つ増えるというものでしょう。

窓を開けずに空調に頼らざるをえない住環境よりも、自然の風と光をとりいれられる住まいは健康的です。風の道を確保したり、光の射さない部屋を極力作らない設計力が大切でしょう。それは機械のように壊れることもメンテナンスも必要のないエコの仕組みです。ホテルの部屋のような住まい、空調により一年中同じ温度に保たれ照明により光を確保する住まいが、はたして本当に快適なのでしょうか。

ちなみに、この「環境共生住宅」は賃貸で、空室が出て募集すると100倍以上の希望者が集まるそうです。

エコは大切だし気持ちが良い、と考える人が多い証だと思います。これからますますエネルギーの節約が大切になる時勢。

購入者の意識が供給側にも影響を与えるでしょう。

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