「平面単価」だけでなく「体積単価」もチェックしよう

2008.5.2 at 11:05 am by

マンションの価格を見る時「坪単価」あるいは「m2単価」という考え方があります。

価格を専有面積で割り、同じ広さあたりの価格に換算して物件同士の高い安いを比較するやり方です。例えば専有面積50m2のAマンションと80m2のBマンションがあり、いずれの価格も4000万円だとしましょう。この場合Aマンションのm2単価は4000万円÷50m2=80万円。Bマンションは4000万円÷80m2=50万円ということになります。

1m2あたりの単価で比較できるので、そのマンションの割高感・割安感がある程度は正確につかめるというわけです。

「このマンションはm2単価が○○万円だから、この地域にしては安い」とか、「高い」とか。ただし、日常的にはm2単価を3.3倍した【坪単価】で比較することが多いようです。私自身もコメントでそのように書いています。

いずれにせよ坪単価やm2単価は、広さという【平面】の世界の単価です。しかし、考えてみると、こういった「平面(m2)単価」の他に「体積(m3)単価」と言う考え方も成り立つのではないでしょうか。「専有面積」だけでなく、「専有体積」でも考えるのです。

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同じ面積であっても、天井が高ければすっきり開放感があります。つまり専有の高さ、低さで価値も変わるのではないでしょうか。

この場合、表面的な天井高さではなく、床スラブ(コンクリート部分)の上面から天井スラブの厚み分を加えた高さが問題です。これを「階高」と言います。この階高から、スラブの厚み、二重床や二重天井の寸法を引いたものが天井高さになります(図参照)。

階高は3m前後の場合が多く、構造により異なり、同じ建物でも階により異なります。建物は様々な高さ制限を受けながら、建てられる高さが決められ、それらの中から階高が決められていきます。

昔の建物の方が階高は高い傾向にあるかもしれません。これは、昔の方が建築基準法の高さ制限が緩やかであったこととも関係しているようです。供給する側からしても、余裕のある階高がとれる方が設計も施工も楽なことが多いのです。高さ制限により調和のとれた街並みになるのですから仕方ありませんが、日々の設計の仕事ではこの規制と戦っているわけです。

マンションのパンフレットには天井高さは表示されていますが、大切な階高は表示されていないケースがほとんどです。本来は断面図に書き込まれるべき事柄なのですが、寸法が書かれていない図面が一般的なようです。断面図自体が無いパンフレットも少なくないのです。

階高が充分あれば、二重天井、二重床にしても高い天井高さが確保されます。極端なことを言えば、中古のマンションで階高が高ければ直天井、直床であってもリフォームで直すことが出来る場合もあります。ゆとりのある階高であれば、将来のリフォームやメンテナンス面で有利です。デザインバランスにもよりますが、天井が高ければ広々とした空間になりやすいですし、例えば壁一面に収納を造った時の収納力も大きくなります。

単純計算ですが、例えば60m2の住戸の場合、階高が2.9mと3.0mでは専有体積で6m3の差がでることになります。6m3といえば、1m×1m×6mの空間ボリューム、結構大きな差です。にもかかわらず、このふたつの住戸の価格が同じだとしたらどうでしょう? 開放感やリフォームのしやすさ、収納力などに差があるのは歴然としているのに、そのあたりは勘案されていないわけです。意外な盲点だと思いませんか?

建物を平面だけで考えずに、立体として意識すると新たな視点も生まれると思います。

モデルルームでは、「階高は何mですか?」と質問してみたら如何でしょうか。

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