超高層マンションの将来

2007.9.14 at 10:09 am by

現在、超高層マンション人気が集まっているようです。法規上は「超高層」は「60メートル以上の建物」と定義されています。つまり20階建て程度からが超高層ということになります。人気のタワーマンションと呼ばれているものは40階以上の建物も多いですから、超・超高層建物です。

超高層マンションのメリットはたくさんあります。

都心の土地を有効利用できること、それにより職住接近すること。オープンスペースの緑化などによって、街並み景観にも影響を与え、地域のシンボルタワーにもなりえること。さらに、数多くの住戸が集まることで、ホテル並みのフロントサービスや、共用の施設もふんだんに盛り込まれます。最新設備、セキュリティーも各戸当たり割安で設置されます。エンピツ一本買うより、ダース、グロスで買う方が安いのと同じ仕組みです。

一方では数が集まる恐ろしさ、高層であるための問題もあります。高層住人の行動の調査報告によると、高層に住む人は出不精になりやすいそうです。親が出不精になると必然的に子供も部屋に閉じこもりがちになります。毎日出勤する人は別ですが、高齢者も外に出かける機会が減ってしまいそうです。マンションは一般的に10年に一度、大規模修繕工事を行います。もちろん、超高層マンションはメンテナンスがしやすいような設計がなされています。

しかし、修繕工事の費用は階数が高くなればなる程、高額になるそうです。

例えば、14階建てと22階建てを比べると、一戸当たり、1.5倍の費用になる、という試算もあります。今は新しいタワーマンションもいつか老朽化します。区分所有法が改正され、現在では4/5の決議で建替えが可能です。しかし、300戸、400戸のマンションで4/5の同意を得るのは大変なことです。

つまり将来、建替えが必要な時期にきても動きがとれず、スラム化する恐れもあります。私は10年以上前ですが、マンションの建替えに関係したことがあります。全30戸と小規模マンションで、容積率建ぺい率ともに余裕があり、等価交換により新しく造る住戸を販売し、元の所有者はお金を出さずに以前よりも広い住まいを手に入れることができる、という非常に恵まれた条件でした。それにもかかわらず反対する住民もあり、実現までに数年かかりました。人それぞれ、多くの違った価値観があるものだ、と実感したものです。

豊洲の超高層マンションは日経新聞社の「10年後のお勧めの街」第一位に選ばれました。30年後にも「お勧めの街」であり続けるために、デベロッパーも住民も何らかの仕組みを作る必要があるのではないでしょうか。

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