●理事会はこまめに情報提供を

2010.6.26 at 07:06 pm by

先日、さくら事務所にかかってきたあるマンションの居住者からの相談の電話。

『携帯電話のアンテナを屋上に立てるという議案が、次の総会で審議されるらしいのですが、我が家からものすごく見える位置に立つことになっているようですが・・・』という話からスタート。

ほんの2週間くらいまえに携帯電話事業者による簡単な案内書が投函されただけで、詳細は紙資料が配布されただけで、総会当日に説明会実施後、そのまま決議の予定とのこと。
別棟の屋上にアンテナが立つということで、その方のご自宅から非常に近いように思え、電磁波などが大丈夫か気になっているものの、質問が当日しかできないことに違和感を覚えているということでした。

携帯電話の電磁波の件は、科学的な意見もさまざま。
「良くない」「ある程度距離が離れれば問題ない」「電波の方向があるから計画的に行えば問題ない」などなど、世界的にもそれぞれの意見が立証されているわけではないので、マンション内で同じように意見がぶつかっても、科学的な結論が出るわけがありません。
ですから、私から建築的な観点で、「科学的にはこうですね」といったような見解を申し上げるのは、正直難しい。

ただ、このご相談を聞いていて思ったのは、共用部分の変更に関わる内容であること、携帯電話のアンテナという、人によっては電磁波問題を気にする可能性が予想されそうなものという点から、総会当日に初めて説明→そのまま決議という流れは、居住者から不満を持たれても仕方ないなぁということ。

これは電磁波かどうか、という特定の技術的な話しではなく、「居住者の中でも意見が分かれる可能性があるもの」については、事前に理事会で話が出たときに「理事会報告」などで、少しずつお知らせしたり、説明会を開くなどの工夫がほしかった、ということです。

管理組合の総会とは、国で言うところの国会。
ここで決議が取られれば、それをくつがえすには、もう一度総会を開いて決を採るしか方法がありません。
ある一部の方のご意見とはいえ、議論が出尽くしていない段階で決を採ってしまうと、後々、居住者間で遺恨を残し兼ねない。

理事とはいえ、居住者の一部ですし、彼らもたまたま任期のときに携帯電話事業者から話を持ちかけられたという点では、これまでの協議も大変だったであろうと思います。
しかしながら、全権を委任されているということでもない。
なかなか難しいかもしれませんが、せっかくプライベートな時間を使って理事をやったのに逆に文句を言われる羽目になってしまっては、本当に気の毒だと思うのです。

ある程度は理事会でまとめてから居住者に審議を求めるということでいいと思います。(ものによっては決裁も)
ただ、ある特定の方が不安に思いそうなこと、居住者間で意見が分かれる可能性が見込まれるものなどは、他の居住者のために、理事の方々のためにもなるべくこまめに情報を配布したり説明会を実施するなどをお勧めします。

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