実録タワーマンション評価3 室内の居住性 

2010.2.2 at 09:02 am by

今回は、居室部分の居住性についてレポートします。タワーマンションのメリットとして眺望の良さなどは想像できますが、その他の面ではどうなのでしょうか。

3、室内の居住性について
――超高層マンションの眺望は?

 
 

息を呑むほどの絶景です。この価値は何物にも代え難いものがあります。真空パック状態での暮らしですから、眺望くらい良くないと、鬱鬱としてしまいます。しかし、2週間もすると慣れっこになってしまい、こんなものかという感じです。もっぱら最近では、訪ねてくるお客様のおもてなし用、といった感じです。

3、室内の居住性について
――室内環境は快適か?

 
 

空中高く暮らすということは、室内環境にも大きな影響を及ぼします。風が強いです。窓は開けられますが、風が強いので敢えて開けない、真空パックな生活です。したがって、24時間換気をしないと悪い空気がこもってしまいます。また、窓を開けた状態で、宅配便業者などの来訪者が玄関ドアを開けると、風圧でポルターガイストのようにモノが飛びかいます。

温度は平地より低いです。一般に100mで0.6℃下がります。44階はざっと3m×44階=132mなので、地上より約1℃程度は低くなります。が、窓は閉め切っているので、夏はほとんどの時間冷房が必要です(まだ、冬に暮らす機会は到来していないので暖房のことは分かりません)。もちろん、24時間換気なので、換気扇の音が常時しています。

このように超高層マンションは、快適な空気環境は機械によって制御されなければなりません。映画館や地下街など、空気が必ずしもよくないところにいると、頭が痛くなるというような人は、自分にとって耐えられる環境かどうか、超高層のホテルなどに宿泊し、事前に試してみることをお勧めします。

火災防止の意味もあり、IHクッキングヒーターが普及しています。夏の調理が暑くなく、ごとくがないので掃除が簡単と、女性には有難いIHです。

3、室内の居住性について
――不便?な通信状況

携帯が通じにくくて、困っています。実はこれは、高層マンションでは、いろんな携帯電話の電波が届きすぎ、それが干渉を起こして携帯が途切れ途切れになる現象が多発するからという説明をする方もいましが、当マンションのパンフレットには、「通信各事業者それぞれの通信システムで運用されているので、事業者が設置する通信中継設備の位置及び電波状況によっては、団地内または建物内での使用において通信が不能となる場合があります」と書かれています。要は建物内に電波が届かないことがある、ということでしょうか。

では、居住者のコミュニティについて見てみましょう。

 

4、居住者のコミュニティについて
――居住者のコミュニテイの質は?

コミュニティの質が高いか低いかは、住民同士が挨拶するかどうかが、ひとつの目安となります。エントランスですれ違った際、エレベーターで乗り合わせた際にお互いに、気持よく挨拶ができるかどうかで、住民のマンションへの愛着度が図れるのです。私の住むマンションは賃貸で、居住用、事務所用と使用目的が異なります。住んでいる人は挨拶しますが、仕事のため通勤してくる人は挨拶しない傾向にあります。

また、住んでいる人はシングル、DINKS,ファミリー、リタイアしたシルバーなど多様な人たちです。その中で、DINKS・ファミリーはよく挨拶しますが、シングル(どちらかというと男性のほうが挨拶する)・シルバー(どちらかというと女性のほうが挨拶する)は、こちらから声をかけないと挨拶してくれない、といった傾向があるように思います。

コミュニティの質の良し悪しは日常の暮らしのマナー、たとえばゴミの捨て方、自転車の置き方、共用施設の使い方の良し悪しにつながります。また、分譲マンションであれば、管理や大規模修繕についての考え方にも影響します。挨拶は要チェックです。

4、居住者のコミュニティについて
――意外と子どもも多い!

超高層マンションは子育てには向かないと言われていますが、私のマンションには就学前のお子さんが結構います。マンションの玄関の外にあるちょっとしたオープンスペースで遊んでいたり、エレベーターに乗り他のフロアにあるお友達のお部屋に遊びに行く光景をよく目にします。また夕方になると共働きのお母さんの帰りを、エレベーターフロアまで走り出て迎える子供さんを見かけたりもします。

私が見る限り、どの子もいきいきとしていて元気です。育つ環境よりも父母の育て方のほうが、子育ての良し悪しに大きな影響を及ぼすように思われます。

それでは、超高層マンションに住んでみての総評です。

5、総合評価
――「空中に暮らす」もあり!

 
 

たった2ヶ月程度の居住経験で結論めいたことは言えませんが、超高層マンションという新しい居住形態は、新たな住スタイルを創造する可能性をはらんでいるように感じました。

私たちは長らく地上に暮らしてきたため、「空中に暮らす」という慣性は備わっていません。
そうした背景から、超高層マンションの住み心地については、憶測も含めていろいろな意見があります。しがらみのない新しい街。その街で、空中を縦に150m超も伸びる建物内では、荷物預かりなどの生活サービスやセキュリティ、室内環境に至るまで、電子機器をはじめとした機械によりコントロールされています。

また、住民はシングル、DINKS、ファミリーからシルバーまで数千人が多様に暮らしています。こうした新しい住環境、居住形態から、どのような新しい暮らしかたが生まれてくるのでしょうか?興味深いところです。

たとえば、超高層マンションならではの植物や動物の育て方から、もちろん子どもの育て方、近所づきあいのしかた等々、これまでになかった暮らしかたのノウハウが時の経過とともに、少しずつ築かれていく予感がします。住めば都ですから。

ところで、こうした超高層マンションに向くのは、こだわりやしがらみにとらわれない方、先進的で合理的思考の方、上昇志向の高い方ではないでしょうか。また、こうした人たちにより、「空中に暮らす」という新しい慣性が培われていくことに期待したいと思います。

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