築30年超のマンションを買うときに知っておきたいこと2

2010.2.2 at 08:02 am by
1では構造においての悩み解決法をお伝えしましたが、今回の2では第二の悩みともいえる古くて汚い居室の対処法などをみていきましょう。

中古マンションの悩みの種
「古くて汚い居室」をどうするか

 

私は居室内については、給排水管の交換、壁・床・天井の張り替え、キッチン・お風呂・トイレの設備交換、その他電気容量の拡大も併せてリフォームしました。築35年超の居室であれば、入居前に給排水管の交換は必須ではないでしょうか。

共用部分の給排水管は築30年前後の大規模修繕の一環として、管理組合が取り換えることが多いのですが、室内は専有部分なので個人負担での取り換えとなります。工事は床や壁を壊して行う大がかりなものとなり、工事期間は台所もお風呂もトイレも使用できません。日常生活に支障をきたす大工事となりますから、入居前に壁紙、床材のリフォームと同時に行っておくのが合理的です。このようなおおがかりなリフォームはリノベーションと呼ばれています。

また、30年前と現在とでは使用する電気製品の数、種類は格段に多くなっていますから、ながら家事中にヒューズが飛ばないよう、電気容量を多くすることを忘れないようにしましょう。

結果、居室内は新築並みに変身しました。古くて汚いからと超築古マンションを敬遠しがちですが、リノベーションすれば大丈夫です。新築マンションにそのまま住むより、リノベーションなら自分にあった空間を再構築する作業を楽しむことができ、時間はかかりますが、買い物としての充実感は相当あります。

住まいという大事な資産を維持するのは、居住者です。次に、管理形態の見方をお話しします。

「居住者の質」も欠かせない判定要素

住まいという大事な資産を維持するのは、居住者です。別に、居住者を品定めするわけではありませんが、古いマンションになればなるほど、建物の維持・管理が資産価値に大きく影響します。維持・管理をどうするかは、居住者そのなかでも所有権をもつ居住者が管理組合員として決めます。したがって、維持管理についてどのような考え方を持った人たちが居住者かという点が肝となります。

そうした点でまず、知っておきたいのは、賃貸比率です。賃貸居住者はそのマンションの区分所有者ではないので建物の維持管理について直接云々する権利はありませんし、資産価値は気にしませんので、結果、維持管理には無関心です。賃貸比率が高ければ高いほど維持管理を重視する入居者が少なく、資産価値の維持について不安が生じます。

私が入居した当時、賃貸比率は30パーセント程度でした。この時点では、青山一丁目徒歩9分の立地であれば多くも少なくもないという判断でしたが、経年変化にともない徐々に賃貸比率は高まってゆき、売却時には40パーセント程度にはなっていたような印象を持ちます。

なぜそうなるかというと、築35年を経過したマンションは新築より6割前後安く取引され、昨今の建て替え事例からみて、このまま使用できるのは、あと15年程度と考えた場合、私のように売却するのではなく、賃貸として活用したほうが収益総額は多いという考えから賃貸に出す居住者も増えてきます。

一方、築年数が古くても新しくても家賃に大きな差はでませんので、借りては新築を選びがちです。そのため、間口を広げて借り手を増やすべく、居住用だけではなく事務所用としての賃貸も認めざるを得なくなってくるのです。当初は、オフィス使用は禁止という管理組合の規則が、築年数が古くなり賃貸人がつきにくくなると、規則の運用は徐々にゆるくなり、オフィスとしての使用も増えてくるのです。これは自分の力では防ぎようがありません。立地が良いマンションであればあるほど逆に業務用ニーズは高まりますので痛し痒しです。

それでは、管理状況の次に確認して欲しいことをお話しします。

管理人さんはどんな人?

次に確認したいのが、所有権者が少なくなるマンションにおいて、強力な管理組合の活動が実施されているかどうかです。まずは理事長さんがどんな人かを知るべきでしょう。私が買ったマンションの当時の理事長さんは弁護士の方でした。また、修繕委員会という理事会の下部組織の委員長は大手ゼネコンの役員をしている方でしたので、維持管理については当面は適切な運用がなされるだろうと判断しました。

古いマンションは大規模な修繕工事が多々発生します。工事の内容を決め、業者を発注し、コストの妥当性を判断し、管理組合員の賛成を取り付ける等々、高いマネジメント力と専門知識が必要とされます。それらに対応できる人材がそのマンションの居住者の中にいるかどうか、は重要なポイントです。

また、ごく基本的なことですが、居住者がエントランスやエレベーター内できちんと挨拶するか、ゴミ出しがルールどおりにきちんと行われているかもチェックのしどころです。挨拶やゴミ出しは一般的な常識とマナーを心得ている居住者かどうかを見極める、一番簡単な方法です。挨拶もしないようなマナーやモラルの低い居住者が集まったマンションの管理組合の活動が、健全かつスムーズであるはずはありません。

以上が築35年という、古いがために情報が少ない物件のリスク(不確定要素)を確定するために私が試みた方法と買い(投資)の判断基準です。築年数が古くて買うのが怖い、でも立地や価格が魅力的な物件に出会ったときにお試しいただきたいと思います。

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