築30年超のマンションを買うときに知っておきたいこと1

2010.2.2 at 08:02 am by

私は築35年の超古いマンションを買って5年ほど住み、この4月に売却しました。最近、中古マンションを検討する方々は増えていますが、あまり積極的には選択されない超築古マンション。実際の体験を通して、超築古マンションを買う時、住んでから、売る時どんなことが起き、どう対処するのが良いかを赤裸々にお伝えしましょう。

買う時 超築古ならではのリスクを確定し買いの判断を下す

私が住んでいたマンションの概要は以下のとおりです。

<マンション概要>
・交通:銀座線・半蔵門線・大江戸線「青山一丁目」駅徒歩9分
・築年:昭和45年4月
・構造:鉄骨鉄筋コンクリート造12階建て/8階
・敷地面積:3073.18m2
・総戸数:69戸
・間取:3LDK

竣工年は昭和45年とマンションのハシリのころに建っていますから、今となっては手に入らないブランドエリアの好立地に住まいが持てます。共働きDINKSには、打って付けの立地です。その当時、まだマンションは庶民のものというより、お金持ちのための高級な住まいという位置づけでしたから、そこはかとない高級感が漂っています。

また、趣味的なことではありますが、外観やバルコニーなどのデザインに凝ったものがみられるなど、今風のマンションとは一線を画しており、レトロでレアな雰囲気が好きな方には魅力的です。そして、何より価格が安い。周辺の新築価格相場を100とするとだいたい34~38、つまり新築価格より6割前後安く買うことができるのです。半面、いくつかのリスクを抱えていることも事実です。

中古マンション購入において、一番気になるのが構造では?次に、建物構造のリスクの対処方法をお話します。

建物の構造・性能面のリスクと対処方法は

 

2000年以降に建てられたマンションは、耐久性、耐震性などの性能のレベルを表示する性能表示を取得したものがありますが、35年前に建てられたマンションにはそのような表示はありません。したがってどの程度の性能かは素人では分かりません。そこが最大のリスクであり不安です。

耐震性は、1981年以前の旧耐震基準時代に建築されていますので阪神淡路クラスの地震が発生すると倒壊する危険性があります。耐震調査は実施されておらず、不安が残ります。建物の外壁にはときおりクラックが見られ、コンクリートや鉄筋の劣化が気になり、耐久性の面でも不安は残ります。もちろんスラブ厚は15cm弱程度で、今の新築20cmの常識からすると薄く、遮音性が高いとは言い難い構造です。

このリスクを容認できるかどうか、私は結論を出すために、建物の調査診断を行うリスペクト建物調査という会社に調査を依頼しました。調査するのは一級建築士で、目視によるものです。したがって、目で見て分かる範囲の情報をもとに、建物の状態を判断するものですから精度が高いとはいえませんが、ある程度のことは分かります。この診断の結果は、既に大規模修繕が実施されていたこともあり、老朽化の点で目立った不安材料は見当たりませんでした。そこで、耐久性についてはリスクが確定し容認できると判断しました。調査費用はたしか6万円程度だったと思います。

上下階の住人チェックと遮音対策
耐震性はヒアリングでカバー

スラブ厚が薄い点については、上階、隣住戸の居住者がどのような方々かを調べました。どちらも高齢な方々が居住者であることから、生活音に悩むことはない、下階については私が、フローリングをあきらめるなどの対応で遮音対策をとれば、リスクはクリアできると判断しました。

ただし、耐震性については不確定なままです。そこで、私は管理人さんを訪ね、耐震性について質問しました。あくまでも管理人さんの主観的コメントであり、客観性は欠くものの、「新築時から住んでいる方によると、このマンションは霞が関ビルと同様の堅牢さで建てられている、ということを聞いています」ということでした。それでも不安な私は知人の建築家に居室内を見てもらいました。この当時のマンションは天井があまり高くなく、柱や梁(しかも多い)が居室内に露出しています。インテリア的には今ひとつですが、強度的には、堅牢ではないかとの感想を得ました。

以上をもって、あまり科学的ではありませんが、耐震性については不確定ではあるものの容認することにしました。建物構造・性能は、住宅という資産の基盤となるものですが、気に入らない、不安だからといって自分ひとりの力で補強したり改築できるものではないところが、超築古マンションの悩みです。可能な限り建物の状態を明らかにし、対応策がとれるか、とれないまでも容認できるかどうかを判断するべきでしょう。超築古マンションについては、居室内よりも建物構造・性能のほうが買うかどうかを判断する材料としては、重要度が高いと考えます。

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