マンションの終末期を見据えた購入ポイント3

2010.1.31 at 01:01 pm by

マンション寿命の第一の鍵は「コンクリート」

 

マンションの寿命は、コンクリートが握っています。正確には、コンクリートのかぶり厚さ(建物の躯体の中にある鉄筋を覆っているコンクリートの厚さ)が寿命を左右します。

なぜ、かぶり厚がポイントかというと、コンクリートの表面から雨水が侵入し、中の鉄筋が錆びて膨張することで、コンクリートが中性化しボロボロになって剥がれ落ちる危険が生じるため、住めなくなり寿命がつきることになります。したがってコンクリートが厚ければ雨水が侵入しにくくなり寿命が長引くわけです。

コンクリートのかぶり厚と寿命の関係は以下の計算式で算出します。建築基準法で規定している主要構造部(土に接していない屋内部分の柱・梁・耐力壁)のコンクリートのかぶり厚は3cmです。

寿命(耐用年数)=7.2×(かぶり厚)×(かぶり厚)

7.2×3×3=約65年が一般的なマンションの理論的な寿命ということになります。建築基準法に基づいて建てられたマンションの寿命は、同潤会アパート程度はあるものと考えられます。

平均年齢築36年で建て替えられたマンションは、寿命がつきて住めなくなったという理由より、この先大規模修繕に費用がかかるのなら、等価交換事業で費用負担なしで建て替える道を選ぶという、むしろ経済的な理由からといえるでしょう。

かぶり厚が1cm厚くなると、7.2年寿命が延びるという計算になりますから、できれば、3cm以上、できるだけ厚いマンションを選びたいものです。

マンション寿命の第二の鍵は「コンクリートの密度」

コンクリートの密度も、寿命を左右する要素になります。コンクリートの中から余分な水や空気の隙間を減らせば、コンクリートの密度は高くなり、空気や水の侵入を抑え、コンクリートの中世化を防ぐことができます。またそれは、コンクリートの強度を高めることにもなります。

日本建築学会が発表した目安は以下のとおりです。寿命の長いマンションを選ぶとしたら、コンクリート強度24N/mm2をひとつの目安にしたいところです。24N/mm2とは、1cm2当たり約240kgもの荷重に耐えられるということになります。一部の高額マンションでは、コンクリート強度30N/mm2といったコンクリートもみられますが、中古マンションにはほとんど採用されていません。

コンクリートの設計基準強度 大規模修繕不要期間
18N/mm2 約30年
24N/mm2 約65年

寿命の長いマンションを探すポイント

以上のことから、寿命の長いマンションを探すとしたら、

・主要構造部(土に接していない屋内部分の柱・梁・耐力壁)のコンクリートのかぶり厚が3cm以上
・コンクリートの設計基準強度(密度)が24N/mm2以上

これらは、設計図書の中にある構造図(構造特記仕様書)を見て確認します。設計図書は管理組合で管理されていますので、管理人さんにお願いして見せてもらうことになります。現地見学した際に、見られないようでしたら、仲介会社の営業マンを通して確認してもらいましょう。

コンクリートは大丈夫でも、地震で倒壊したら寿命はそこで終わりです。
・1981年以前に建ったマンションは、耐震調査済みか、耐震補強の必要があるかも用心深く確認を

以上のようなチェックポイントで、寿命の長いマンションを選び、生きている間は住み続けられるよう、何とか延命したいところです。

次に、延命が可能なマンションのチェックポイントをお教えします。

平均寿命以上に延命が可能なマンション
のチェックポイント

高級ではなく普通のマンションの理論的寿命は65年です。ですが、これはあくまでもコンクリートが中性化するスピードから推し量った寿命です。現在、多くのマンションは雨水の侵入を防止するため、外壁をタイル張りにしたり、外断熱工法をもちいるなどして、コンクリートが直接外気に触れないようにしています。防水のためのメンテナンス技術も今後相当進むことが予想されます。

そうした技術革新にくわえ、古くなる前にメンテナンスするアンチエイジング型の修繕計画をたて実行することにより、マンションの寿命は理論値である65年を超え場合によっては、100年程度までは、伸ばせるものと考えられます。

そのためには、居住者ひとりひとりが、維持・管理に関心をもち、適切な修繕計画を立て、資金を積み立て、修繕工事を実行していくことが必要です。

100年持つ維持・管理の仕組みを持つマンション
を見分けるポイント

以上から、100年持つ維持・管理の仕組みを持つマンションを見分けるポイントとは、

・長期修繕計画が作成されているか
・計画に基づき必要な費用が算出され、算出額に見合う修繕積立金が徴収されているか
・理事会以外に修繕委員会があり、修繕について専門的に検討する組織があるか
・マンション管理士やコンサルティング会社などへ専門性の高い事項について相談する仕組みがあるか
・管理費・修繕積立金の滞納がないか

などです。

100年、いえせめてマンションの持ち主の方々が生きている間はちゃんと住めるマンションを購入するためには、建て替えしやすいマンションや解散・売却しやすい希少なマンションに巡り合うチャンスはごく限られています。

ですから、現実的対応として、寿命が長い造りで、延命しやすい維持管理の仕組みを持つマンションを選ぶことが、今のところ、最善の策といえるのではないでしょうか。

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