2007年10月度高評価マンションベスト10

2007.11.16 at 10:11 am by

マンション評価ナビは、毎月末にマンション評価委員会を開催し、ベスト10マンションに関する感想や、評価に関する意見交換を行っています。
まず、今回ベスト10にランキングされたマンションと、評価メンバーから寄せられた感想をご紹介しましょう。下欄の表をご覧ください。

10月度高評価マンションベスト10
マンション名
総戸数
坪単価 (調査時点)
売 主
THE TOWER KOISHIKAWA
122戸
調査時未定
オリックス不動産
BEACON tower residence ※1
440戸
250万円
有楽土地
シティハウス 浜田山ガーデン ※2
45戸
400万円
住友不動産
Brillia駒込染井 ※3
88戸
調査時未定
東京建物
Brillia Tower Kawasaki
395戸
調査時未定
東京建物
テラス大井町 ※4
121戸
調査時未定
トヨタホーム
イニシア千住曙町
515戸
191万円
コスモスイニシア
グランドメゾン九段南
65戸
調査時未定
積水ハウス
アトラス国領
320戸
216万円
旭化成ホームズ
アトラス白山ホワイトヒルズ
84戸
330万円
旭化成ホームズ
(評価委員から寄せられたコメント)
※1 湾岸エリアにある高層タワーマンション。大型マンションなので、セキュリティやサービスが充実していることや、立地・交通アクセスが良いことが高得点につながりました。
※2 閑静な住宅街にある低層マンション。坪単価を見ても分かるように仕様・グレードがワンランク上なので、棟全体・室内の居住性の良さが高得点につながりました。都会の喧騒から離れてゆったりとした時間を過ごしたいかた向きです。
※3 駅近でお店も揃っているのに、静かな環境。余計な共用施設がない。プランが上手い。敷地を活かした設計で、地下にメゾネットを造ったり、超ワイドスパンだったり、階段室型にして東西に開口をつくったり、良く考えられています。バリエーションが豊富で、ほぼ全てがわりと良いプラン。地下駐車場、トランクルーム、ゴミ置き場などにも利用していて、土地を有効に使っている。室内の仕上げのグレードも高い。規模があまり大きくない。
※4 トヨタの研修施設跡地の立地で、トヨタの車の技術やアイデアが随所に活かされており、今後のトヨタ関連物件の指標的マンションとして興味深い。カップル向けの調査住戸は眺望が望めませんが、住戸配置がエントランスホールやエレベーターホール、ラウンジから近くて便利な位置に計画されています。マンションのネーミングは大井町ですが、現地の状況はローカルな雰囲気の立会川のイメージ。

今回はマンションをチェックする際の目のつけどころとして、参考になると思われる辛口な意見も併せてご紹介しておきます。

まずは、共用施設やサービスに関する意見です。
戸数の多い大規模マンションは共用施設やフロントサービスの種類や数を競うために、シンプルな造りの小規模マンションにくらべ、評価点が高くなる傾向にあります。
マンション評価ナビの評価担当としてマンションの現地調査を始めた当初は、共用施設に感激していましたが、今は疑問を感じています。

大規模マンションの共用施設は、例えばホテルの代わりにゲストルームを造るなど、街にあるサービスをマンションの中に取り込むということです。
マンション内で生活を完結する必要があるのでしょうか?
郊外のバス便マンションの場合、ホテルやスポーツジムなどが近くにない不便さを補う上で、ゲストルームやスポーツジム、AVルームなどを設置するのは分からないでもありません。
その一方、歩いて5分もしないところに、本格的なホテルやジム、シネコンやコンサートホールがある都心立地のマンションに、そういった施設が必要なのか? 他のマンションとの差別化のために施設をつくることが、本当に住人や周辺地域にとって良いことなのか? 何だか疑問に感じるのです。
共用でコンポストを持つなど、本当に暮らしに役立つマンションの共用施設のありかたは他にあるのでは、と思っています。

次に、マンションのトータルデザインに関して、評価メンバーから寄せられた指摘もご紹介しておきます。
調査した大規模マンションは、「海外インテリア雑誌がデザインプロデュースした」というキャッチフレーズになっていました。パンフレットにはフランス人のプロデューサーの顔写真が載っているのですが、よく読むと、その精神を受け継いだ日本人のデザイナーが実際は担当しています。さらによく読むと、そのデザイナーはマンションの外観の色と共用空間のインテリアデザインとモデルルームのデザインを担当しているだけで、マンションの建物や住戸のデザインにはノータッチなことが分かります。

このような傾向、最近の大規模マンションではよく見受けられます。照明デザイナー、インテリアデザイナー、アートディレクターからファッションデザイナーまで。それぞれの分野で活躍する第一人者が、それぞれ共用施設の一部を手がけたりしているのです。

一見、ハイセンスなデザインのマンションなのかと錯覚する“コラボレーション”戦略。裏を返せば、建物を設計しているゼネコンのデザイン力だけではインパクトがないので、外部に助けを借りた感があります。(この類いのマンションでは、住戸内の設備機器や内装センスは、可も無く不可も無く、といったものが多いようです)。

本来は表層の部分やパーツ的な部分だけではなく、建物本体の設計からはじまり、最後の室内の内装にいたるまで、一人のデザイナーやチームが担当するのが「トータルデザイン」だと思うのですが、いかがでしょう。

その逆のケースもご紹介します。
グランドメゾン九段南は、特にデザイン性を全面に押し出した広告はしていません。しかしスタイリッシュな外観をはじめ、徹底した左右対称のプランニングや洗練された内装材の選択には、一貫したデザインポリシーが感じられました。設計は老舗の大手設計事務所ということで、やはり納得の仕事ぶりでした。

デザインは構造や設備などに比べれば、マンション選びの重要項目の2番手、3番手に位置するものですが、最近はデザインにこだわる目の肥えたユーザーも増えています。モデルルームも非現実的なエスカレートしたインテリアより、現実感があってかつデザイン性を提案したもののほうが好感が持てると思うのですが。

いかがでしょうか。セールスポイントとして派手に打ち出されることが多い共用施設、デザイナー起用、インテリア関連企業とのタイアップ等々。生活者の視点でニュートラルに評価すると、売り手と買い手の間には温度差があるような気がしてなりません。

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