私流 モデルルームの見かた“模型は情報の宝庫”

2007.11.9 at 11:11 am by

たとえば、大規模なマンションの販売センターに行ったとします。

まず、ビデオを見せられますよね。きれいな欧米系のモデルが夜景を見ながらワイングラスを傾けている映像や、”天空に広がる上質な暮らし”といった背中がくすぐったくなるような、ナレーションが流れたりします。

こうしたビデオには住まいを選ぶときに重視したい情報はあまり盛り込まれていません

正直な販売担当者の方は、「ビデオでまずお客様に刷り込みをするんです」とおっしゃいます。
私は、見るものに過度なイメージを持たせようとするビデオは、「時間がないから」と言って見ません。マンションの見学は一人当たり2時間から2.5時間もかかります。しょっぱなから、刺激的な映像を見てしまうと、冷静な観察と判断ができなくなるからです。

では、どこに一番時間をかけるかというと、模型コーナーです。

ここで大半の時間を費やします。模型コーナーは情報の宝庫です。まず、マンション周辺の説明を聞きます。いきなりマンションのことは聞きません。住み心地を決める要素のうち7割がたは立地だからです。また、気に入らないからといって、周辺環境は自分の力では変えられないので、心してチェックします。

模型を見ながら、マンションから駅までの距離・使える路線、スーパーや病院が歩ける距離にあるか。新駅や駅前開発の計画がないか。

シングル女性なら外灯の明るさや引ったくり・痴漢の状況など。開発計画の有無など。

子育て志向のDINKSなら学校までの道のり、道路の大きさや交通量・騒音量・空気汚染度、緑・公園の多さなど。ここでどんな暮らしができるか、将来の暮らしにどんな変化があるか、といった情報を収集します。

次にマンションに隣接している建物の位置・間隔・向き・高さや、道路付けを確認します。

隣接する建物との間隔がつまり過ぎて、日当たり・採光・通風に影響しないか? 眺望はどうか? 外からの視線が気にならないか? 将来目前に、高い建物が建つ計画はないか? などを聞きます。暮らしやすさの良し悪しを、模型は雄弁に語ってくれます。
ところで、模型が広範囲に造られている場合は、立地や周辺環境におおいに自信がある物件です。最小限の範囲にとどまるときはその逆が多いので、余計に根ほり葉ほり質問します。

ここからマンション自体の確認に入ります。
だからといって、モデルルームへ移動はせず、引き続き模型です。

共用施設の位置と内容エレベーターの位置と数車の出し入れがしやすい駐車場か?駐車台数と料金は? ゴミ出しの方法は? など、模型を見ながら使い勝手を想像します。さらに、各住戸の価格設定の傾向もここで確認します。南向きと西向きの価格差は? 階数ごとの価格差は? などです。

私は平均坪単価も必ず聞きます。この単価がマンションの水準・グレードを見る一つの目安になるからです。

都心立地のマンションを飛行機にたとえれば、坪単価200万台はエコノミークラス。300万台はクラスJ。400万台はビジネスクラス。500万台以上はファーストクラスといったところでしょうか。

クラスに応じたグレードかどうかを判断するわけです。

さて、ここまでくると、自分が対象とするのがどの棟のどのタイプの何階あたりか、ということが見えてきます。もちろん、「今回は見送りだな」ということも。

このように買う・買わないの大まかな判断は、模型コーナーの情報収集でできてしまうのです。皆さん、ビデオを見て気分を高揚させた後、早々と模型コーナーを通り過ぎて、プレミアム住戸のモデルルームへ急ぐのは危険?ですよ。

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