入居時に修繕積立金の見直し!?

2009.8.19 at 11:08 am by

最近、新築マンションの内覧会立会いに伺うと、建物のお話以外に、ご依頼者の方に「ひとつ、聞いておいていただきたいことがある」とお話することがあります。

それは『修繕積立金』について。

内覧会立会いに伺う前には、物件のホームページで概要などを見ています。修繕積立金の設定額が非常に安いのを目にしたときには、今のうちからその『意味』を知っておいていただかないと後から困ってしまうかも・・・と思い、通常の内覧会立会いでお話しする内容ではありませんが、おせっかい?でお知らせしています。

●新築マンションを買われた皆さんのマンション、一戸あたりの修繕積立金の平均月額はいくらくらいでしょう?

インターネットの情報などでも多く見られる「目安額」は、概ね『平均6000円』。
旧住宅金融公庫が以前、新築マンションの融資基準として出した金額です。
これくらいは新築当時から貯めておかないと、『将来、お金足りなくなりますよ』というひとつの目安。
実際のところ、戸当たり平均6000円でも足りないくらいですが・・・。

対して、最近伺ったいくつかの新築マンションでは、内覧会前にホームページの物件概要で見たところ、修繕積立金の戸当たり平均は概ね4000円程度が多かったです。

当然、緩やかな値上げをした程度では大赤字は間違いなし。

売主の設定では、ある年からものすごい急激な値上げを予定しているようですが、ちょっと現実味を帯びない感じ。
居住者の中に「こんなに急な値上げは困る」と反対する人が出てきてしまうと、やっぱり将来赤字になってしまいます。

●マンションによって、抱えている設備(エレベーターや機械式駐車場など)も異なり、建物の形状や仕上げ材料も異なりますから、実際に修繕にかかる金額も物件によって違いますが、もし修繕積立金が貯まっていないと、必要な修繕を適切なタイミングで行なえなくなります。

そうすると、設備機器が故障しやすくなったり、交換が必要になったり、また、見た目にも古ぼけた印象の中古マンションになってしまったり・・・という可能性も。
買ったときに美しい設備・施設も、維持管理ができなければ、数十年の時間の流れには勝てず、古びていきます。

もちろん、引渡し直後が非常に安い金額設定であっても、すぐに修繕積立金の値上げができれば、大きな問題はありません。
ただ、管理組合で値上げ決議を取るのは結構大変。
みんながみんな、「適切に修繕しなきゃ!」と言ってくれるとは限らないからです。

実際、さくら事務所の管理組合向けサービスのひとつ「マンション管理調査報告」をご依頼される管理組合さんの中には、なかなか居住者内でも意識の違いがあって苦労しているという組合さんも多いようです。

入居後に時間が経てば経つほど、こういった意識の差が生じやすくなってしまいますから、入居後すぐに動き始めることが大変重要になってきます。

●『そもそも、なんで、そんなに安い設定にしておくの!?』と皆さん思われると思いますが、だいたいは、新築販売時の売主の目論見で、月々の支払い計算を出したときに「管理費修繕積立金、駐車場代込みで賃料とさほど変わらないですよ」という説明をしやすいことに起因していると思われます。

居住者が自分達で早く気づいて方向転換をしないといけないマンションは、決して少なくなく、引き渡されて管理組合が新しい決まりを作るまでは、売主が設定したルールのまま住むしかありません。

今、修繕積立金が非常に安いマンションの引渡しを待っている方は、管理組合が出来たら、まず『長期修繕計画と修繕積立金についてチェックをしたほうがいいのではないか』とご提案されることをオススメします。

コメントを投稿

,